こちら同胞生活相談綜合センター
宇部小野田
生活も税務も一括処遇
結婚・福祉・相続からパソコントラブルまで
「頼れる場所」と同胞たち
センターの存在を同胞に認知してもらうため、
チラシや名刺、うちわなど様々な「グッズ」を活用している
課題は同胞弁護士の発掘・育成 三千人をサポート 内訳は、民族結婚が最も多く15件ほど。交通事故、相続、刑事事件、医療福祉、海外旅行の手続き、金銭トラブル、果ては家出人探しやパソコンの操作トラブルまで、実にバラエティに富む。案件数から外した確定申告相談は、この時期に約230件が集中した。「法的問題だけが悩み事ではない。多種多彩ですよ」と、沈盛久所長(総聯宇部小野田支部委員長)は語る。 宇部市、小野田市、楠町の2市1町には約650戸、3000人以上の同胞が暮らす。現在、沈所長をはじめ3人の職員と、支部管下の分会長を中心とした巡回相談員、そして専門相談員として司法書士や医師、2級介護ヘルパーら8人の同胞有資格者が待機している。 他県との連携も センターの運営においては、「口コミ」による宣伝がことのほか重要な手段となる。まずはセンターの存在を認知してもらわないことには始まらない。同胞宅を一軒一軒、訪問してチラシや名刺を配り、飲食店や会社にはポスターを貼ってもらった。発行部数8万部を誇るタウン情報紙「サンデー宇部」にも広告を打った。そして、実際に相談案件を解決する過程で、同胞に頼られるセンターへと変ぼうを遂げた。 このように開設以来、着実に一歩一歩、歩んできたセンターだが、問題も少なくない。 中でも最大の問題は、同胞弁護士が地域にいないことだ。「同胞固有の問題について、互いに腹を割って話し合うには、同胞弁護士が不可欠」(沈所長)だが、現状は、同胞法律・生活センター(東京・上野)や他県の同胞弁護士に頼らざるを得ない。 もう1つは民族結婚の問題だ。センター内の同胞結婚相談所が取り扱うが、地域独特の問題が絡む。 「当事者同士もその親も、県内の同胞との見合いを嫌がるんです。狭いコミュニティー、みな近所付き合いのようなもの。互いに良く知った間柄だけに、拒否感が強いようです」(沈所長) こうなると1支部の力ではどうしようもない。中四国の他県のセンターとの連携が重要になるが、地元のセンター運営も手一杯なのに、他県まで手が回らないのが現状だ。 「民族結婚は同胞社会の未来に関わる大問題。どうにかして解決の糸口をつかみたい」 センターが円滑に運営されるに伴い、総聯支部への信頼も増したと語る沈所長。今後の具体的な課題として、@相談案件の解決で多くの実績を上げるA巡回相談員の役割を高めるB同胞有資格者、とくに弁護士を育てる――ことを上げる。もちろん、長引く不況のさなか、同胞商工人の経営上の諸問題解決も大きな課題だ。 「センター開設直後、一番先に祝いの電話をかけてきてくれたのが、実は名前も住所も知らない同胞だったんです。『チラシを見て感激した。これからは私たちのよりどころになってください』と。涙が出るほど嬉しかったですね」。この時の感動が、センターの活動を支える源になっている。(柳成根記者) |