春・夏・秋・冬

 ウルトラ・ナショナリストの集団が編集した歴史教科書がアジア各国から激しい批判を浴びている

▼朝鮮の植民地支配や日本軍の性奴隷=「従軍慰安婦」、南京大虐殺などの歴史を無視するだけでなく、「大東亜戦争」には自衛の側面があった、結果としてアジアの解放に役立ったなどと記述している教科書に対して近隣諸国が怒りをあらわにするのは当然のことだ。結果的に、日本を孤立化の道に追いやるだけである

▼また、仮に検定がパスし、各学校で採択・普及された場合、その教科書から日本学校に在籍する多数の在日生徒たちがどういった歴史観を持つのかが、たいへん憂慮される

▼教育の理念は、人間的尊厳を守り、各自が置かれている環境に対処して主体的に思考し、行動することのできる人間を育てることだと思う。しかし、「自由主義史観」を代表する人々の言説からは、道徳的なものや人間性などみじんも感じられない

▼数年前、「朝まで生テレビ」という番組で、日本の戦争犯罪を追及している吉見義明氏と、「新しい歴史教科書をつくる会」の西尾幹二氏ら10数名が討論しあった。吉見氏から次々と新資料を突き出された西尾氏は彼に対して、「病的だ」などと感情むき出しの人格攻撃を行った。それに対して、冷静沈着に対処した吉見氏の姿をみたとき、この論争には人間の品位がかかっているのだと思った。「つくる会」の敗北は明らかだった

▼戦争責任の論議は、「慰安婦=商行為」だという、人間の尊厳を侵す動きと対決するということなしにはあり得ない。(舜)

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