中等教育実施55周年

発足から2年余 同胞電気技術者協議会

教育会と協力、運営にも一助

同胞企業の電気保安担う


東京電力を訪問した同電会会長(2000年9月)


ビル総合管理センターも構想

 日常生活に不可欠の電気。日本では、高圧で受電する中規模以上のビル・建物には、必ず電気主任技術者(第1〜3種、下記参照)を配置することが義務づけられている。こうした電気保安体制を必要とする同胞企業は、東京に約300軒、関東一円だけでもおよそ800軒を超えると言われる。1998年9月に発足した「同胞電気技術者協議会(同電会)」は、「同胞企業の電気保安業務は同胞技術者の手で」「電気保安業務を展開しながら民族教育を支援しよう」をモットーに、地道な活動を繰り広げている。(羅基哲記者)

意思疎通、安心与えるプラス面

 現在、同胞が所有するビル・建物(事務所ビル、店舗ビル、テナントビル、遊技場、パチンコ店及びホテルなど)の高圧受変電設備の電気保安業務は、ほとんどがビル・建物の建設を担当した建築事務所の紹介などによって採用された日本人技術者が行っている。

 同電会の会長を務める姜電気管理事務所(東京・板橋区)の姜英主さん(62、元朝鮮学校教員、板橋商工会副会長)は、「同胞企業の電気保安業務担当者に日本人が多い理由は、同胞技術者の数が少ないことにも起因する。だから、1人でも多くの同胞技術者を育て、同胞企業の電気保安業務を見るようにすれば意思疎通、さらに安心を与えるという面でプラスは大きい。また、地域社会をよく知るウリハッキョ教育会の協力を得て、同電会と同胞企業をつなぐ役割を果たしてもらえれば、学校の運営に財政的に貢献できるのではないか。そんな思いから、同電会の発足を思い立った」と言う。

 会発足に当たって、関東一円の同胞技術者らに広く参加を呼びかけたところ、その多くが賛同。現在、会員数は15人になる。

「主任」から「管理」への昇格に力注ぐ

 同電会では主に、電気主任技術者を電気管理技術者に昇格させ、事務所開業に力を注いできた。

 電気管理技術者は、電気主任技術者免状取得後、一定の実務を経験し、また豊富な知識を有し技術的・社会的にも信頼できる技術者として経済産業局長に認められればその免状が与えられる。

 姜会長自身、15年前に第3種電気主任技術者の免状を取得後、8年前、関東通商産業局長(現経済産業局長)の資格審査を経て電気管理技術者に昇格した。

  会発足当時、会長1人だった電気管理技術者は今では9人に増え、予備軍も多数控えているという。

 その一方で、関東地方すべての朝鮮学校教育会の協力も得た。教育会を通じた契約件数は年々増え、それに伴いハッキョに入る紹介手数料も増加。まだまだ微力ながらも学校の運営にも寄与できるようになったという。その額は姜会長の場合、年間数100万円に達するという。

相談窓口、人材派遣就職センターも視野に

 同電会では電気管理技術者の増加を踏まえ、「同胞電気管理技術者協議会」を発足させ、「ビル総合管理技術センター」を設置したいとしている。センターでは、ビル総合管理の相談窓口、ビル管理人材銀行と人材派遣センターおよびビル管理就職センターなどを考えている。

 また、電気工事業や空調設備業、消防設備業、ボイラー技師などによる各協議会を設立し、ビル総合管理の連携システムを築くことも念頭に置いている。

 姜会長は、「ネットワークを拡大させることで、同胞社会の発展と同胞企業の繁栄、民族教育の発展を促し、統一祖国の発展にも寄与できると信じている」と語っていた。

 姜電気管理事務所=TEL 03・3937・6153

電気主任技術者の業務と取得方法

 電気主任技術者とは、大は発電所から小は一般家屋の屋内配線に至るあらゆる電気工作物の工事・維持および運営に関して保安監督を行うもので、扱う電圧の高低などによって、第1、2、3種の3種類に分かれる。第1種はすべての工作物、第2種は構内の電圧17万ボルト未満、構外10万ボルト未満、第3種は構内5万ボルト未満、構外2万5000ボルト未満の電気工作物の保安監督ができる。ビル・建物の監督は、第3種の資格でできる。

 資格取得方法は@国家試験の合格A経済産業大臣認定の学校を卒業し所定の実務経験を積む――などがある。Aの場合は相当の実務経験年数を必要とし、審査も厳重であるため、国家試験を選択するのがベターだと言える。国家試験は年齢・学歴・性別に関係なく、誰でも受験できる。

 詳細は電気技術者試験センター(TEL 03・3213・5991)まで。

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