就職情報センター
「その場しのぎではだめ」
求める人材と希望の職場
朝鮮料理店を経営する同胞経営者た
ちが求めているのも専門職だ(2000年
11月、朝鮮料理店経営集中講座)
高まるニーズ、HPに4100件のアクセス
失業率4%を超える(ハローワーク統計)厳しい雇用情勢のなか、昨年六月、同胞の就職問題の解決のための総合的な役割を担う「トンポ(同胞)就職情報センター」(就職センター)が設立された。日本社会の現状は、どれほど同胞の就職問題に影響を及ぼしているのか、などについて就職センターを通して現状を見てみる。 昨年、各地に開設された同胞生活相談綜合センターをとおして集計された就職に関する相談案件数は728件と5番目に多く、そのうち283件が解決された。 この数字について、就職センターの金知勇事務局長は「相談件数に比べて、解決件数はそれほど多くないのではないか。本センターのホームページ(HP)開設後、4100件ものアクセスがあったことからしても、関心は高いので、もっと連携を持ってやっていくことが重要だと思う」と話す。そして、「職種の違いなどもあり、日本の不況が直接、同胞社会の雇用問題に影響を及ぼしているとは、肌では感じられない面もある。だが、雇う側も雇われる側も意識を変えないとだめな時代だ。つまり、その場しのぎ的な採用、どうにかなるだろうという職探しでは、企業も雇用される側も不安定な状況に陥るということだ」と厳しい。 だからこそ、就職センターでは、情報提供にもっとも力を注いでいくと言う。情報提供にあたっては、同胞企業はむろん、日本企業、外資系などからも広く収集する。また、国際舞台での活躍を目指す同胞も多いことから、そうしたニーズにも対応できるよう、今後は海外の企業とも連携を持っていく。 一緒に会社訪問 就職センターは、情報発信センターとしての活動を主としている。だが、支部や綜合センターの門をたたきにくいという同胞が直接、訪ねてきたというケースもある。 就職センター開設から5ヵ月後の昨年11月、荒川在住の同胞青年が、就職センターの就職情報誌「イルト21」を目にしたといって訪ねてきた。 話を聞くと、その同胞青年はコンピューター関係の仕事をしていたが、10年前日本の印刷会社に転職した。 ところがその会社は、入社直後から帰化を迫った。拒み続けたが、自分より後に入った人が出世していくのを目の当たりにし、同胞企業で働きたいということだった。 さっそくセンターで同胞企業を探し、オーナーの人となりをみるため、一緒に会社を訪問した。「スキルアップや有能な人材派遣も大事だが、それだけでは、職業斡旋所と変わらない。本当に困っている同胞に対しては、そこまでしてこそ、本当の奉仕と言えるのではないか」(金事務局長)。また最近では、日本人女性と結婚した日本語ができない南朝鮮の男性が訪ねてきた事もある。そればかりか、日本の外資系企業に勤めたいという同胞や、日本人が同胞企業への就職を求めて来た例もあるという。こうした様々なケースに対応していくことが、就職センターの特徴でもある。 専門職求める 門戸が解放され活躍の場が広がっても、就職する側の認識、準備状況に変化がなければ仕方がない。 朝鮮料理店経営集中講座(98年)に参加した同胞業者に、これから要求される人材は、と聞いてみたところ調理師38.3%、経理などの管理部門32.0%などの答えが返ってきた(イルト21)。同胞遊技業界でも経営全般を任せられる管理者を育成、確保したいという要求が高いという。 求める人材と希望する職場が一致するためにも自分を磨き、何をセールスポイントにするのか、どういう人材を求めているのか、そのことをきちんと持つことが重要だ。(金美嶺記者) 【トンポ就職情報センター=東京都文京区白山4―33―14、TEL・FAX (03・5840・5222)、HP=http://www.ilto.ne.jp |