くらしの周辺

ウリマル


 息子が何やら単語のようなものを喋るようになった。確実にこちらが理解できるのは、「オンマ」と「ワンワン」である。母親を「オモニ」と呼べるようになるまで18年もかかった自分と比べてみるとき、息子が「オンマ」と言う姿を見ると感慨深いものがある。問題は「ワンワン」である。息子の頭には急速に日本語がインプットされていっている。つけっぱなしにされているテレビから流れてくるのは日本語、両親の会話もほとんどが日本語でなされる。

 日本語でなら、犬、猫、豚、馬、ニワトリ、ガチョウ、カラス、オットセイ…たいていの動物の鳴き声を言うことができるし、人間の泣き声なら5種類は即座に答えられる。必要なら怪獣の鳴き声もそれらしく作ることができる。しかしウリマルとなるとそうはいかない。原因はどこにあるのだろう。それはすべて自分の勉強不足にある。ポイントは日本にいるから仕方がないのではない、ということだ。

 統一情勢が進展するなか、在日同胞社会でこれまでと違った民族性回復の動きが起こっている。特に「在日だけでしか通用しない朝鮮語では駄目だ」という意識が強く生まれてきているのを感じる。私は遠い昔に総聯組織が繰り広げたウリマル習得運動にすくいとられて、それでも少しはウリマルを喋れるようになった。21世紀が始まった今、ふたたび全組織を挙げて全同胞的なウリマルを学び使う運動を推し進めるべきではないか。(徹)

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