四国初中創立55周年 10年前のカプセル開封
懐かしさにふける卒業生たち
「トランペット独奏で金賞」「在日のF1チームを結成」
在学中に抱いた「夢」を書きとめた
カプセルを掘り起こす卒業生たち
18日に催された「四国朝鮮初中級学校創立55周年記念 統一世代の集い」では、10年前、当時の在学生たちが校舎の花壇に埋めたタイムカプセルの掘り起こしが行われた。顔をのぞかせた泥だらけのカプセルを目にしながら、卒業生たちは喜びと懐かしさにふけっていた。(柳成根記者)
「トランペットの独奏で中央芸術大会に出て金賞を取りたい。この夢は絶対に実現させたい」。――中級部3年だった10年前、タイムカプセルに入れる手紙に、金貴順さん(24、第34期卒業)はこう書いた。しかし、「結局、実現できなかったんですけどね」と笑う。 金さんは、続けてきたエステティシャンの仕事をやめ、この3月、地元の香川・高松から広島へ嫁ぐ。結婚という人生の大きな節目を迎える金さんだが、結婚後も、オモニとしての立場から同胞社会に関わっていきたいとの思いは強い。 「子供を朝鮮学校に入れ、家族で統一のその日を迎えたいですね」 「在日同胞をスポンサーにしてF1チームを作りたい。金剛保険の名前を付けて宣伝すれば、同胞社会がもっと有名になる。チーム名は『在日同胞オモニ号』」――金さんと同級生の呉秋英さん(25)が書いた手紙だ。 「実は、これを書いた当時のこと、よく覚えていないんですよね。ただ、とにかく同胞のことをもっと多くの人に知ってもらい、同胞社会をもっと良くしたい、その思いから書いたのは確かです」 呉さんは現在、朝銀西・香川支店に勤務する。何かと忙しい時期だが、同胞社会と統一への思いを聞くと、「統一の日は、必ず訪れるもの。あとはいかに早く実現するかだ。そのためには同胞はもちろん日本人にも、朝鮮の良さを知ってもらわないといけませんね。それに、朝鮮学校の良さも含めて」。金さんと呉さん2人の手紙は、集いの第2部でも紹介され、参加者の笑いを誘った。 第37期卒業生の申成愛さん(22)の「当時の夢」は、「保母さんとピアノの先生」。子供たちのいろんな相談に乗ってあげたいとの思いから、こう書いたそうだ。「夢」は果たせなかったものの、子供に好かれそうな笑顔。現在、朝銀広島・福山支店でその笑顔を振舞っているそうだ。 数人の卒業生に話を聞いたが、やはり初・中級部の頃に書いた作文だけに、むじゃきながらもロマンあふれる「夢」ばかり。当時、「統一のその日を夢見て」との仮定で作文を書いた生徒は皆無だった。だが今では彼らの口から、「統一のその日にも朝鮮学校を残したい」「統一を機に同胞社会を一層よくしたい」との言葉が多く聞かれた。10年前には遠かった統一が、今や確実に現実に実現し得るものになっていると、多くが実感しているようだ。 ネットワークをさらに強化/同窓会の活性化を確認 今回の集いは、学校創立55周年という節目と、統一情勢の流れに合わせて@ウリハッキョを多くの同胞に見てもらうA同窓会活動を活発化させるB祖国統一に向けた卒業生、在校生、同胞学父母らの意思の一致を図るという3つの目的で行われた。 2年前、他県から愛媛県松山市に嫁いできた姜志淑さん(26)は、1歳の娘と、同校卒業生の夫の3人で訪れた。姜さんは、「朝鮮人が民族の誇りを持って生きていくには、やっぱりウリハッキョが必要。生徒たちの公演や生き生きと遊び学ぶ姿を見て、自分の子も必ずウリハッキョに入れる、と改めて夫と話し合いました」と言う。 同校は四国唯一のウリハッキョ。この日は四国4県から、多くの卒業生や同胞学父母らが訪れ、ハッキョの必要性を再確認した。 遊技業を営む朴賢次さん(28)は、仕事のかたわら、商工会と朝青活動に奮闘している。朴さんは、同窓会活動の必要性についてこう語る。 「ハッキョを盛り立てていくためには同胞学父母だけでなく、卒業生の力が必要だ。彼らのネットワークをいかに強化していくかが課題だが、力と知恵を絞って卒業生たちをまとめていきたい。とくに、われわれ若い商工人が中心になって奮起していきたい。生徒数を増やすことが同胞社会の活性化につながる」 またほかの参加者らに統一問題について聞いてみると、「現実問題として身近に感じる」という多くの回答が得られた。金太宇校長は、「卒業生、在校生、同胞学父母らが一堂に会すことによって、その思いは一層強まったと思う。統一祖国に貢献できる有能な人材、新世紀に同胞社会はもとより世界で活躍できる人材を育てていきたい」と述べていた。 |