5回目数え参加者も増加

東京同胞ファミリー卓球

健康によく手軽にできる卓球

瞬発力、応用力アップ、心拍機能整える効果も


最高齢の67歳の李さん。若い者にはまだまだ負けない


ラリーの応しゅうに熱い声援を送る朝鮮学校の生徒たち

卓球マシーンで遊ぶ子供たち

 第5回東京同胞ファミリー卓球フェスティバル(主催=在日本朝鮮人東京都卓球協会)が18日、港区の東京SC卓球場で行われ、関東の同胞卓球愛好家と朝鮮学校生徒、関係者ら約300人が集まった。競技は支部対抗団体戦とシニア個人戦で行われ、団体戦は総聯中杉(中野・杉並)支部、個人戦は金民子さん(東京、47)がそれぞれ優勝した。金さんは、1976年に平壌で開催された第3回アジア卓球選手権大会に総聯代表として出場している。瞬発力や機敏性を養うなど、運動効果が高いことから、近年ファンが増えている卓球。同胞たちの間でも、手軽に始められ、健康にもよいスポーツとして人気が高まっている。フェスティバル参加者も年々増え、親ぼくを深め合う格好の場になっている。(李賢順記者)

ボケ防止

 40台の卓球台が並んだ会場は、開会前から熱気に包まれていた。「カンコーン」「カンコーン」――球を打ち合う音があちこちから聞こえてくる。

 この日の参加者のうち、最高齢は李孝雄さん(67)。卓球を始めたのは中学生の時だ。定年後は老化防止のためと、週2〜3回は近所の小学校の体育館などで練習に励んでいる。体の動きは軽妙、お腹は腹筋で鍛えているとあって、ぜい肉は一切なく「かちかち」に堅い。

 卓球は、至近距離の小さな球をリズミカルに目で追うことから、動体視力を高めると同時に、心拍機能を整える効果もあり、ボケ防止、アルツハイマーの治療に役立つと言われている。

 だから通常、直径38ミリのものよりひと回りほど大きい、直径45ミリの高齢者向けの球が普及し出したほどだ。ラージボールと呼ばれているが、大きい分見えやすくなるので、ラリー(打ち合い)が長続きするという。

家族の輪

 初回から参加しているという姜奉又(54)・呉栄順(46)夫妻。当初は「卓球なんてつまらない」と乗り気ではなかった姜さんを、高校時代からやってきた呉さんが無理やり引っ張って来た。しかし、今では姜さんのほうが夢中だ。

 「女房孝行だよ」と照れ隠しで笑う姜さんだが、今では六人の子どもたちも「抱き込んで」、一家で「ファミリー卓球」を楽しむほどに。自宅でプレーするときにはテーブルが台、本がネットと化す。

 最近では、子供たちも面白さを覚え、暇さえあれば卓球で遊んでいるという。姜家にとって卓球は、運動不足の解消だけでなく、家族の輪を保つ秘訣にもなっているようだ。

頭脳プレー

 卓球をこよなく愛する熱血指導教員、金学柱さん(27)。母校の東京中高で卓球部を指導し、今年で5年目になる。金さん自身も中級部から六年間、同校卓球部に所属した。

 「卓球は、百bの距離を走りながら将棋をさすようなもの」という知人の言葉が印象に残っている。1対1の勝負で体力を消もうしながらも、ラリーを展開しながら相手を負かす作戦を練っていく頭脳プレーだからだ。そのため、思考能力、応用力がアップする。

 また、勢い良くきた球を、素早く打って相手に返す動作を繰り返すことにより、瞬発力、機敏性も養われるという。

 「卓球は誰でもすぐに上達できます」と金さん。

   「ぜひ小学校の時から卓球を始めてもらいたい」と熱く語っていた。

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フェスティバルの歩み

97年から開催/卓球部増設めざす

夢はインターハイ、朝鮮代表

 同胞卓球愛好家が集う場を設けようと、在日本朝鮮人東京都卓球協会(姜英宙会長)が1997年から毎年開催し、今回で5回目を数える。

 卓球は、物が不足していた団塊世代(1947〜49年生)の幼年期に、手軽にできるスポーツとして広く親しまれていたという。当時は都内の至るところに卓球場が設けられていた。

 東京中高の卓球部も全盛で、フェスティバルには、同部のOB、OGらが多く集う。まるで同窓会のようだ。

 同胞たちは、卓球を通じて旧友と再会でき、そのうえ新しい仲間が増えることがうれしいと、毎年欠かさず会場に足を運ぶ。

 また、ともに楽しさを体験してほしいと、家族にも必ず卓球を教えるOB、OGも多く、中には自分の子どもをプロの卓球選手に育てたいと、3歳の頃からラケットを握らせている親もいるほどだ。

 実は、フェスティバルの開催には、都内の朝鮮学校すべてに卓球部を設立し、力のある卓球選手を育てたいという思いも込められている。

 現在都内の朝鮮学校で卓球部があるのは、東京中高と東京第1初中だけだ。

 各校での卓球部設立を目指す同協会では、まずは子どもたちが卓球に触れる場を提供しようと、会場に卓球マシーンを設置。遊びも兼ねて、基礎的な打ち方を学べるようにとの狙いからだ。

 また、参加した生徒全員にラケットとボールのセットもプレゼントしている。

 姜会長は、同フェスティバルを通じて同胞の卓球ファンがもっと増えてくれれば喜ばしいと述べながら、「夢は朝鮮学校卓球部のインターハイ出場、そして、朝鮮代表選手を発掘すること」と語った。

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