解説

住宅ローンにも救済策

遅延金の発生、競売さし止め

4月1日から施行−「個人債務民事再生手続き」(下)

殷勇基(弁護士)


 住宅ローンは、今まで述べてきた借金とは別扱いになる。それでも、3種類の救済策が用意される。いずれもやはり裁判所に申し立てる。

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 まず、@「期限の利益のみ回復型」。

 住宅ローンのうち、支払いが遅れてしまった部分を最大5年以内に支払えば支払いが遅れたことによって生じた、遅延損害金も(認可決定確定以降は)発生しない、ということになる。もっとも、通常の支払いは続けた上でそれに上乗せして、遅れている部分を上乗せして払うということなので、かなり支払いが厳しくなるかもしれない。

 なお、もし競売手続きがすでに始まっていたとしても、それを止めさせることができる。

 次に、A「リスケジュール(再計画)型その1」で、@の期限の利益回復型を遂行することが困難な場合に、この型が認められる。内容的には、支払期限の延長である。例えば、もともと30年で返す計画でも、40年で返せばよくなる(ただし、毎月の支払い額は減らない)。もちろん、支払いを続けている限り、競売などにかかることはない。ただし、延長期間は最大10年間で、さらに最後の支払時期は、70歳を超えることができない。

 最後に、B「リスケジュール型その2」。

 Aの遂行も困難な場合に、さらにこの型が認められる。住宅ローン以外の借金について民事再生で分割払いをしている間(さらに場合によっては、分割払いをし終わったあとでも若干の期間)、住宅ローンへの毎月の支払い自体を減額することができる。

 以上の住宅ローンの救済は、住宅ローンを保証した保証人にもおよび、債務者本人が再生計画通り支払っている間は、保証人に請求することはできない。

 以上のように住宅ローンであれ、それ以外の借金であれ、裁判所が計画を認可し、計画通りに支払い終われば、残額が免責されるのは、前述したとおりだ。

 さらに、計画を完全に遂行できなかった場合でも、裁判所が認めた計画のうち、4分の3の金額を支払い終え、次の計画を遂行できなかったことに落ち度がない場合には、おおむね、残額はやはり免責される。

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 では、申し立てに要する費用はどのくらいかかるのか。大きく分けて、申し立て自体の費用と、申し立てを弁護士に依頼した時の弁護士の費用に分かれる。申し立て自体の費用については、20万円程度になる予定だ。弁護士費用は、現在のところ、1社2万円で計算している(任意整理の場合)。

 例えば、10社の場合、依頼時に20万円、終了時に20万円、合計40万円ほど(さらに若干の上乗せがありえる)となる。弁護士が応ずれば分割払いも可能だ。ただ、弁護士費用の基準も変更される可能性があるので、弁護士に直接、問い合わせてほしい。

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 民事再生ができない場合は従来通り、破産または任意整理をすることになる。なお、破産についてだが、通常思われているほどの不利益がないことがほとんどだ。とくに東京地裁の場合、手続き自体、大変、スピーディーに進められているし、また、個人会社なら会社破産もかなり簡単だ。費用は、簡単な手続きの場合、申し立て自体の費用は、数万円から数10万(20〜30万)円だ。弁護士費用についてはおおむね、上記の民事再生の費用と同程度となる。

 同胞法律・生活センター、そして、地元の弁護士会などにも専門の相談窓口が設置されているので、早期に相談することが大事だ。(ウン・ヨンギ、同胞法律・生活センター相談員)

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