春・夏・秋・冬 |
高齢化社会の現状。寿命の延びとともに、人生の質を問う姿勢が、熟年世代の人々の間に強まっている。何歳まで生きるかよりも、快く充実した楽しい生活をいかに送るかに関心が集まっているのだ
▼そうした環境の中で、知的好奇心を抱き続け、何かを探求し、社会に発信しようと努力をしている人々がいる。先日、「人物朝鮮の歴史」の編訳者4人に話を聞いた。まさに熟年期を、つねに若々しく充実した生活を送っている人々であった ▼南永昌氏のライフワークは日本文化に投影する朝鮮。数年前、会社勤めをしながらも「失われた朝鮮文化―日本侵略下の韓国文化財秘話」(李亀烈著)を翻訳した。日本の対朝鮮文化財の破壊・略奪を知るうえで欠かすことのできない資料として評価が高い。朝大に籍を置く高演義氏の元々の専攻はフランス文学。今は、国際関係論、中でも第3世界と在日朝鮮人というテーマで研究に励んでいる ▼一方の舘野皙氏のライフワークは南朝鮮における出版事情。以前、東京都庁に勤めながら数々の翻訳書を刊行し、引退後は図書出版ハンギル社の東京駐在企画委員をしながら、日本の「出版ニュース」で記事を連載している。広告会社に勤めている蜂須賀光彦氏も中国の中の朝鮮族に関心をもっているという ▼取材して思ったことは、ちょっとした趣味や関心事でもいいから、それを深めさえすればものになりうるということだ。と、同時に同胞1人ひとりが知的ライフスタイルを確立すれば、文化を軸にした豊かなネットワーク社会が形成されるものと確信した。(舜) |