朝・日体育人新春懇談会/東京
壁越え友情生むスポーツ
統一後押し、実りある交流を
200余人の朝・日スポーツ関係者が交流した
釜本邦茂・日本サッカー協会副会長(右)に、今後も朝・日の交流を深めていこうと語りかける金露顕・体連会長 |
岡野JFA会長(右)と懇談する金清・在日本朝鮮人サッカー協会会長(左)ら |
「シドニー五輪、朝鮮学校の活躍」で持ち切り
「スポーツ交流で朝・日友好を」―。9日、東京・新宿区の京王プラザホテルで2001年度朝・日体育人新春懇親会が行われ、総聯中央の権淳徽副議長、金露顕・在日本朝鮮人体育連合会(体連)会長、八木祐四郎・日本オリンピック委員会(JOC)会長、参院議員の釜本邦茂・日本サッカー協会副会長をはじめとする200余人の関係者らが参加した。シドニー五輪の共同入場など、話題に事欠かなかった懇親会では、さらに実りある交流を進めていきたい、という声が至るところで聞かれた。 昨年は、6.15共同宣言で北南の体育交流がうたわれ、高まる統一機運を後押しするかのように、シドニー五輪で北南朝鮮の共同入場が実現。同胞スポーツ界では朝高出身のプロボクサー洪昌守選手が世界チャンピオンに輝き、大阪朝高サッカー部が全国高校サッカー選手権大会に初出場した。 体連主催の懇親会が開かれて20年以上になるが、今年の懇親会は、こうした話題で、いつになく盛り上がりを見せた。 両国のスポーツ関係者は朝・日関係が悪化した時も、交流の橋をかけてきた。国際卓球連盟理事の木村興治・日本卓球協会専務理事も、この流れに身を置いてきた1人。卓球を通じて朝鮮の統一を実現したい、と強く願ってきた。 昨年の夏、木村氏は日本チームを率いて平壌を訪問。平壌国際卓球招請競技大会に参加するとともに、今年大阪で開かれる第46回世界卓球選手権大会(4月23日〜5月6日)への参加を朝鮮側に要請した。 日本で世界選手権が開かれるのは「北南統一チーム」が実現した41回大会から10年ぶり。北と南が心を1つにし、強豪中国を退けて優勝(女子団体)した歴史的な瞬間を目撃した木村氏は、政治の壁を乗り越える「スポーツの力」を強く感じたという。 「朝鮮チームの参加は、卓球の国際レベルを上げるためにも必要。統一チームの夢も捨ててません」。大会参加へのエントリーの締め切りは22日。木村氏は実現を心待ちにしている。 成長に不可欠の心体の鍛錬 朝鮮学校教員と歓談していた山川康夫・東京都中体連副会長は、品川区立日野中学校の教師を勤めた80年代から、近隣の東京朝鮮第七中級学校(当時)とスポーツ交流を進めてきた。 中体連は朝鮮学校への門戸をもっと早く開放すべきだった、と語る山川氏。「幅広い舞台が用意されれば、子供は勝つために努力する。その過程で心が磨かれ、体が鍛えられる。子供の成長にとっては大事なことだ」。今でも朝鮮学校生徒の活躍を見るのが楽しみだそうだ。 サッカー、レベル上げる交流を 朝鮮学校に対する門戸開放の流れを受け、日本サッカー協会(JFA)は1月18日、在日朝鮮蹴球団、朝鮮学校サッカー部など外国人選手が6人以上のチームに対し、全国大会(全日本少年大会など5大会)への道を開くことを決定した。JFAの決定は、在日同胞サッカー関係者の長年の運動の成果だが、門戸が開放された今、同胞サッカー関係者の関心は、各級朝鮮学校や社会人チームのレベルアップをはかることにある。金清・在日本朝鮮人サッカー協会会長は、「朝鮮学校のレベルを上げるためには、朝鮮大学校で優秀な指導員を育てることが最優先の課題」と話す。今後、日本の大学チームとの交流の場を作るなど、環境整備に努めたいと意気込んでいた。(張慧純記者) |