同胞IT事情

コスト半減、強力な「武器」

「職人との垣根」なくす

愛知県豊田市「ネオプランニング」 朴琴植さん


県青商会福会長として同胞との付き合いも深い朴さん


 インターネット通信販売など「eビジネス」と呼ばれるネット関連企業や、在庫管理、受注作業など自社の業務効率化に「情報技術(IT)」を取り入れる企業は、近年急増している。転じて同胞企業に目を向けると、昔ながらの飲食業をはじめ、ITにさほど必要性を感じない職種が多いこともあり、ITを取り入れる商工人は圧倒的に少ないのが現状だ。だが、そんな中でも「ただ流行に乗る」のではなく、仕事の「手段」としてITに着目した商工人が20、30代の「青商会世代」を中心に台頭しつつある。今月号から同胞企業の「IT事情」を見ていく(月1回掲載)。

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 「飲食業や土木・建築業を営む同胞商工人が圧倒的に多い」(三重県青商会)という東海3県(愛知、岐阜、三重)にあって、自社の業務にITを取り入れているのが、愛知県豊田市の「有限会社ネオプランニング」だ。

 代表の朴琴植さん(39)は、青商会の発足以前から地元の若手商工人の組織化に向けて活動してきた。現在、県青商会の副会長、地元の豊田青商会会長を務める。

 同社は、オーダーメイドのハードウェアの製造販売、システム開発、広告の企画・デザイン・制作、求人ニュースの発行など、「とにかくコンピュータを使った業務なら、何でもやっている会社」(朴さん)だ。

 金融業や飲食業を経て、同社を設立して11年になる。もともと理数系やコンピュータに興味があった朴さんがITに目をつけたのは、「合理化」だった。

 業務の1つである求人ニュースの印刷・発行を挙げると、今や「ITは必需品」だそうだ。「昔の手作業に比べ、コンピュータを使えば同じ部数を刷ってもコストは半分で済む。画面上で活字や色調など細かな修正も利くし、デザインの質もアップするんです。これは必然の成り行きでしょう」

 「プロとの垣根をなくす」というのもITの大きな利点だ。「パソコンを学ぶ時間が少しあれば、あとは職人と同じ仕事ができる。素人とプロの垣根を、ITはなくすんです。画期的なことだと思いませんか?」

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 東京や大阪に比べて「技術や情報のズレ、遅れを感じる」という朴さん。地元の同胞商工人にも「ITを使う人は思った以上に少ない」だけに、ITを通じて愛知の同胞経済の活性化を、との思いは人一倍強い。

 「例えば、紙の台帳を使って顧客管理や決済処理、情報分析を行う人はいまだ多い。ところが、顧客となる企業はパソコンでデータベース化している。一方は紙で、一方はペーパーレス。ここで円滑なやり取りが妨げられる。現代の経営分析では、これでは厳しい。社の信用にも関わってくる」

 流行を追うのではなく、あくまで経営を円滑にする道具、「武器」としてのIT活用を、朴さんはことのほか強調する。「こういう部分に、同胞ももっと資金を使ってもいいんですけどね」と笑う。現に同社が、殺到する求人広告掲載依頼に対応しきれているのも、IT導入で手間とコストが節約できているからだ。

 日本においてITは今後も相当に伸びると予想されている。

 従来のペーパーオンリーの経営方式からの脱皮が、今後の同胞経済を大きく左右すると、朴さんは語る。

 「難しく思わず、まず機械に触れてほしい。そうすれば、ITがいかに経営の強力な武器になるか、分かりますよ」。

 同社では今後、システム構築に力を入れつつ、「地域密着型、同胞生活にも密着した経営」を心掛けていきたいという。(柳成根記者)

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 ネオプランニング 愛知県豊田市東梅坪4―28―1、TEL 0565・35・1288

 HP=http://www.neopla.co.jp  

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