新世紀へ―民族教育を歩く
女の子男の子
今年は、102編が入選した。本社が毎年主催する在日朝鮮学生文学作品コンクールは、ユニークな作文の宝庫だ。
たかが作文、されど作文。作文はあなどれないというのが、コンクールの審査に関わってきた私の率直な感想だ。作文には、その時々の子供の姿が、目に見える部分も見えない部分もすべてあらわになってしまう。のびのびと正直な気持ちが表現されたものも、そうでないものもある。 23年間続いてきたので、今昔の時代の変化も見てとれる。今回おもしろかったのは、やっと来たジェンダーフリー現象だ。初級部3年生の1等は「サッパ」。これは日本の相撲でいう「まわし」のことで、学校の朝鮮相撲大会で優勝してしまった女の子の作文。いつも男子の応援ばかりでつまらない、女子だって参加したい!という声に答え、先生の手づくりの「サッパ(腰から太ももにかけてまく)」が登場。これをつかんで相撲をとれば、がっぷり組み合っても短パンがめくりあがる心配はない。粋なはからいである。 対する4年生の1等は、ズバリ「舞踊部―キム・フィソン」。歴代唯一の男子部員として、舞踊クラブに入ったフィソンくん。「お前女かよ」「ほんとうにいいのか?」。非難の声に悩みながらも「男だけど…舞踊が好きだ!」と思いのたけをぶつける作文の結びは圧巻で、すがすがしい涙さえ誘う。ここでもやっぱり先生の励ましがうれしい。「がんばれ。男だからって何の問題もない。大切なのは最後までやり遂げようとする気持ちだぞ」。偏見のない心は美しい。(姜和石記者) |