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「外務省機密費事件にKSD事件…日本の政治は相変わらずだな。そういえば、今の総理が100人を超す随員を連れてうちの首都に来たことがあったが、その訪問日程中、うちの国は連休だった。なぜ、こんな時期にと当時は思ったが、あれも機密費から出ていたのかなあ」。10年ぶりに東京に赴任してきた旧知の外国人特派員の話だ
▼揺れるどころではなく、末期の末期と指摘され続けてきた日本の政治だが、そんな窮地に追い込まれている森首相が先日の国会施政方針演説で、「有事法制」の検討開始を明言した ▼スキャンダルの弁明におおわらわにもかかわらず、草稿段階にはなかったこの項目を、首相自らが主導してわざわざ文言を入れたのだという。「スキャンダル解明、責任を取ることが先だ」という声が実際に、聞こえてきそうだ ▼ほんの一瞬とはいえ、「政策通首相」に突然変化した背景に、対北政策の見直しを声高に叫ぶブッシュ政権の存在があることは、すぐに察しがつく。さらに南朝鮮で数年間、行方がようとして知れなかった「金賢姫」が「母親」になって登場したり、クリントン政権下で対北交渉の実務交渉を担当してきたキノネス・元国務省北朝鮮担当官のスキャンダルがばらまかれたり、「ブッシュ登場効果」はてきめんである ▼森首相の「有事法制」検討開始宣言と軌を一にして、大分県別府市では15日から「市街地の建物にこもった武装ゲリラ制圧」を念頭に置いた「対遊撃行動訓練」が行われる。点だけでは見えないものも、線でつなぐとくっきりとしてくる。(彦) |