同胞の店

鉄板焼 梅田屋
               (愛知県名古屋市)

ミソとコチュウカルで味付け、絶妙なホルモン焼

解放後から55年間守る味


 1945年の祖国解放直後に両親が開いた店を、現在は娘の南栄淑さんが守る。55年間、変わらぬメニューと味、そして常に笑顔を絶やさない南さんの人柄で、名古屋の同胞社会では知る人ぞ知る「名店」だ。地元の同胞だけでなく、公演で訪れた金剛山歌劇団の団員も欠かさず訪れるという。Jリーグ名古屋グランパスの選手や、劇団四季の人など、日本人の常連客も多い。

 ホルモンを中心にした鉄板焼の店。メニューは、ホルモン、ハチノス、カルビといったメインの具と、野菜や豆腐、うどんなどトッピング用の素材に細かく分かれていて、組み合わせは自由自在。

名古屋ならではの赤ミソと、コチュカル(粉末の赤唐辛子)を鉄板に乗せた具の上から振りかけ、強火で豪快に焼き混ぜる。もちろん、具は新鮮さにこだわり、脂身が少なくさっぱりした豚のホルモンを使う。

 ホルモン、カルビ、玉ねぎ、豆腐、うどんの組み合わせは、コチュカルの辛さをミソの甘味がまろやかに包み、絶妙なコクを生み出す。定番の組み合わせだが、どこか、昔懐かしい味わいがし、ご飯がよく進む。

 最近では、若い女性客がずいぶん増えたと、南さんは言う。「野菜を多く使うヘルシーな部分が受けたのでしょうね」

 母が昨年、父が今年初めに亡くなった時は、「ものすごくショックだった。店を続けていく張り合いがなくなった」と語る。だが、周囲の同胞や常連客の励まし、そして何よりも「両親の築いた店を守っていくのは自分しかいない」という思いが、南さんに店を続けていくことを決心させた。

 「これからも、お客さんと一緒に店を守り立てていきたい」(成)

 おすすめメニュー ホルモン(500円)、ハチノス(600円)、カルビ(850円)

 営業時間 午前*時〜午後*時(*曜定休)。名古屋市千種区今池1―13―8。TEL 052・733・3428。

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