春・夏・秋・冬

 乱世の時代だと言われる現在。政治の腐敗堕落、経済の長期低迷、犯罪の増加など混迷は深まるばかりだ。日本の政界、経済界などでは「リーダー」のあり方がいろいろと議論され、強いリーダーシップを発揮しえる人物の到来を望む声すらある

▼こうした時代を反映してか、歴史、時代小説のブームが続いている。現在、NHKで放映中の北条時宗を描いた歴史書や小説などが相次いで刊行されている一方、伴野朗氏の「呉・三国志」、北方謙三氏の「水滸伝」など、戦乱の時代を生き抜いた武将たちを描いた小説も出ている

▼こうした現象は、南朝鮮でも見られる。朝鮮の医学界に大きな足跡を残した「許浚」(ホ・ジュン)をはじめ、後三国時代(高句麗、百済、新羅)に国を統一した「王建」(ワンゴン)の同名小説がドラマ化されている

▼時代小説のブームが続くのは日本、南とも、企業の倒産、貧富の格差拡大、犯罪多発などバブル崩壊や通貨危機以後、日々の暮らしが市場原理(グローバリゼーション)によって打ち壊されている人々の、社会に対する不平・不満を反映しているからだろう

▼先行きが見えない状況下、難局を打開した昔の人物たちの武勇伝を読んで、スカッとした気分になりたいと思うのはごく自然なことだ

▼しかし、うっ憤晴らしのために読むだけでは歴史のだいご味を味わうことができない。南の李離和氏が書いた「人物朝鮮の歴史」(明石書店)を薦める。歴史の壮大なスケールとともに、94人の物語から人間の知恵を読み取ることができるだろう。(舜)

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