保安法改正めぐる動き
与野少壮派議員、連帯し独自案上程へ
自由投票すれば過半数確保
時代の遺物、金大統領も言明 かねてから廃止が叫ばれていた「国家保安法」の改廃を求める動きが、今年に入ってさらに活発になっている。今年初め、金大中大統領が「保安法を早い時期に改正する」と言明する一方、与野の少壮派議員が独自に改正案を作成して国会に上程すると表明している。国会議員が党派を超えて連帯するのは、南朝鮮政治史上初めてのことだ。 北南共同宣言の採択後、当然のこととして保安法の改廃を求める声が高まり、昨年秋頃から、少壮派議員を中心に独自の改正案を国会に上程する動きが起きた。 そして今年1月6日、民主党とハンナラ党の初・再選議員30人が集まり、「国会独立のための議員連帯」(独立連帯、仮称)を今月14日に発足することで合意し、同時に保安法改正をこれ以上遅らせることができないとして、独自の改正案を作成、上程する方針を決め、それぞれ所属している党に改正案への自由投票を求めた。 これに対して与党民主党は、金大統領の発言を受けて党としての改正案を作成し、今国会に上程すると発表していた。しかし、党内で軍出身議員が「時期尚早論」を唱え、連立与党の自民連が「改正不可」の立場を再確認するなどの抵抗に遭い、結局、「金正日国防委員長のソウル訪問後に処理」(金重権民主党代表)と後退した。 一方、議席数では民主党を上回る野党ハンナラ党の李会昌総裁は、当初、「北の労働党規約改正後の改正」を唱えていたが最近、「党内の少数意見に対する収れんの手続きを経て党論を定め、柔軟に対処する」(5日)と、微妙な変化を見せている。 自民連は、民主党から の移籍組(4人)が改正すべきとの立場をとってい るが、党としては「改正不可」の立場をとっている。 こうした状況のなかで独立連帯では、独自の改正案を上程し、自由投票が実現すれば、十分に過半数を確保できると見ている。 法案の国会通過には137人が必要だが、民主党の大多数(115人中離脱者は1〜2人)と自民連の移籍組4人、ハンナラ党で改正を表明している20人を合わせると可能というわけだ。 なお、8日現在、独立連帯を含むいずれの党も改正案の内容を確定していないが、第2条(反国家団体)、第7条(鼓舞・称賛)、第10条(不告知罪)を削除する方向で調整が進められている。 「国家保安法」とは 1948年に当時の李承晩政権が、反政府運動を弾圧する目的で制定。何回かの改悪を経て80年12月に反共法(61年7月制定)を吸収し、現在の形態に至る。同法は、大きく2つに分けられ、1つは、「反国家団体」の構成とその目的を遂行しようとするスパイ、支援勢力を処罰する規定。もう1つは「反国家団体」やその構成員、または指令を受けた者の活動を鼓舞、称賛、同調者を処罰する規定からなる。南朝鮮当局は同法で、朝鮮民主主義人民共和国と朝鮮総聯を「反国家団体」に、汎民連南側本部と「韓国大学総学生会連合」を「利敵団体」に規定している。国際的には、国連人権委が92年から廃止を勧告したのをはじめ、アムネスティー・インターナショナル、米国務省なども改廃を求めている。(元英哲記者)
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