心通じる同胞が一番
障害児抱える同胞家族のネットワーク
「ムジゲ会」新年会
参加者全員で記念撮影
1月28日、東京朝鮮中高級学校の多目的ホールで行なわれた、体と心に障害を抱える子どもを持つ家族のネットワーク、「ムジゲ(虹)会」主催の新年会。会員ら30余人と共に、朝鮮大学校の研究院生と文学部、教育学部3.4年制教育学科、音楽科、体育学部の男女学生10余人がボランティアとして参加した。
ゲームに風船パフォーマンス、コンサート 新年会ではまず、初対面になる子どもらとボランティアの朝大生らがあいさつを交わした後、同校研究院の成基香さん(音楽療法専攻)による音楽療法を取り入れた、遊びを兼ねた学習が行なわれた。受け手を決めてボールをけることで視線を定めるボールけり、観察力を高める物まね、言葉ではなくリズムで自分の意思を表現するとともに、強弱を加えて協調性を高めるフルーツマスカラゲームなど、子どもたちは成さんの指導に沿って興味いっぱい、熱中していた。 次にピエロが音楽にのって登場し、風船を使ってパフォーマンス。ヤシの木に登るミッキーマウスなどを瞬時に作り上げると、子どもたちは手に取ろうとしたり、拍手をしたりで大喜びだった。 ランチタイムはバイキング形式で、テーブルいっぱいに並べられた巻きずしやサンドイッチ、エビチリ、春巻き、シュークリームなどをほおばった。 午後は、東京朝高出身で音楽家・作曲家の李政美さんがミニコンサートを開き、朝鮮の歌「故郷の春」や日本の童謡「星とたんぽぽ」などを披露した。コンサートにはなかなかいけないとあって、子どもや保護者らは、李さんの豪快な歌声にちょっぴり驚いたようだった。その一方で、チャンゴを叩きながら朝鮮民謡が披露されると、みんなつれられて、「オッケチュム」に興じていた。 締めくくりは、朝大生が準備した「人間すごろく」。教えられたルールに沿って、ゴールをめざした。 ◇ ◇ 「ムジゲ会」という言葉には、みんなをつなぐ「虹の懸け橋」にしたい、という思いが込められている。 同会は、ダウン症の次男を持つ申桃順さん(38=会長、東京・足立区在住)が発起人となり、95年10月、7人でスタートした。会員は口コミで徐々に増え、とくに本社発行の月刊誌「イオ」96年9月号で取り上げられてから、全国各地に輪が広がった。現在、会員は約50人で、それぞれが悩み事などを持ち寄って解決策をさぐろうとの月一回のお茶会、家族交流を深めるための春・秋のピクニック、外部から講師を招いた年に1度の勉強会、そして新年会や送年会などを催している。また手書きで始めた会報も、今ではパソコンを利用し26号まで発行している。 発足からの五年を振り返り申会長は、「共通の悩みを持った同胞が1つになって、互いの心を支え合うことができた。最近では、『自分の子どもだけは』と思っていたオモニが、実際に障害を持つ親になり、当初は落ち込んだものの、会の存在を知っていたので、勇気をもって子どもを育てていこうと入会してきた人もいた」と語る。 ダウン症、自閉症、急性小児片マヒ、脳疾患による四肢体幹機能障害など病気の内容も傷害の程度も、そして年齢も様々だ。例えば、ダウン症の場合、全国で900〜1000人に1人の割合で生まれてくるという。帰化者まで合わせて100万を超える在日同胞。同胞障害児も決して少なくないことがわかる。 新年会に参加した李竜子さん(45、千葉在住)は、98年5月の青商会招待によるディズニーランドでの交流を機に入会した。「子どもは養護学校に通っているが、会に参加する以前は同胞との接触がほとんどなかった。それだけに子どもが同胞の子と一緒に遊べることが何よりもうれしい。同じ同胞同士、心が通じ合う。私自身も、この会によって勇気付けられている」と述べていた。「ムジゲ会」連絡先=申桃順(TEL 03・5616・9686)。(羅基哲記者) |