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千葉市中央区釣餌輸入・販売 「西海物産」
虫餌ビジネス手掛け20年
良質と業者に好評、朝鮮で保存・空輸
朝鮮産のアオイソメを積んだ貨物(同社提供)
釣りをする時に使う餌(えさ)には、生きた餌であるミミズなどの虫餌(むしえさ)と、プラスチックなどでできた偽物の餌、ルアー(疑似餌=ぎじえ)の2種類がある。1977年の創業以来、この虫餌を朝鮮から仕入れて日本の業者へ卸し、小売店や釣り愛好家に好評を博しているのが、千葉市中央区にある「西海物産株式会社」だ。4代目社長の夫栄讃さん(50)が会社を切り盛りする。
日本の市場に出回る虫餌の8〜9割は輸入品で、その大半は中国産だが、保存・輸送の技術不足で、質はそれほど良くはないという。そこで、同社の先代社長が「生来の釣り好きが功を奏して」(夫さん)目を付けたのが、釣りによく使われる代表的な虫餌、ミミズの一種「アオイソメ」である。 アオイソメの生息地は、朝鮮西海〜南海海岸と上海海岸一帯。朝鮮西海は寒冷気候で、土が固い粘土質のため、そこに穴を掘って暮らすアオイソメは自然に強い生命力がつき、表皮が固く肉厚に成長する。また、アオイソメの食料、プランクトン(微生物)の量も海水に多く含まれる。 「質の良い祖国の虫餌を業界一の虫餌にしよう」と、同社では創業から5年の歳月を費やして、加工・保存・輸送技術を朝鮮に持ち込んだ。 輸入したアオイソメは、日本の卸業者に卸し、そこから各地の釣具店へ卸される。その質は業者の間でも評判で、最盛期の90年には、日本に年間に輸入されるアオイソメの六割、200トンを手掛けるまでになった。 加工・保存の技術面では、夫さんらが年2回、朝鮮で指導する。「祖国の人たちは飲み込みが早い。あの勤勉さも、商売がスムーズに行っている大きな要因」と、夫さんは話す。 このビジネスを20年以上も営んでこれたのは、「祖国と貿易をしているという喜び、自負があるから」と、夫さん。「朝鮮産アオイソメの存在を知ってもらえ、商売にもつながる。同胞としてこれほど良いことはないでしょう」 生餌の売り上げは、手軽に扱えるルアーに押されぎみだ。消費の低迷と相まって「昨今の不況で商売は厳しい」と語る夫さん。今後は、他の水産物も取り扱うなど、経営の多角化も図っていかなければ、と語る。(柳成根記者) ◇ ◇ 千葉県千葉市中央区蘇我町2―965 TEL
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