自分で考え、動く子に

第16回各級学校教員教研大会

20分科で意見交換


各分科会会場には、教員たちの熱気があふれていた


 1月27〜28日、東京・北区の東京朝鮮文化会館と東京朝鮮中高級学校で開かれた第16回総聯各級学校教員の教育研究大会。日本各地の各級朝鮮学校教員と関係者、900余人が参加し、20の分科会で172編のレポートが発表された。また、2年後の2003年度から実施の新カリキュラムと週5日制(隔週)も念頭に置いた、活発な意見交換が行われた。全体会議であいさつした総聯中央の許宗萬責任副議長は、民族教育で今年、とくに力を入れるべき課題として@子供たちの世界観確立へ主体性と民族性を育むA時代に合った教育の情報化、専門化を進めるB授業だけでなく学校生活全般で児童生徒の自立性をより高めていくC児童生徒の減少を食い止め、拡大に転じさせる――の4点をあげた。(関連記事、社会欄

新カリキュラム週5日制/2003年度視野に

 自分の頭で考え、動ける子供を育てる――。朝鮮学校の民族教育では、学校教育全般を通じて、子供たちの自主性、自立性向上に力を入れている。

 大会では、授業はもちろん、クラス運営や生徒会、クラブ活動、日本学校との交流をはじめとした課外活動など、初中高を問わず、学校生活全般を通じて児童生徒が主役となるよう工夫、指導した様々な経験が報告された。

 授業の場合、ただ教師が読んで聞かせ、板書をノートに取らせる、古いタイプの授業からはほぼ脱却しつつある印象だ。社会科目、理数科目はもちろん、朝・英・日の各語学科目まで、様々な教材、道具を使い、五感をフルに動員する授業が試みられている。

 文化祭や運動会、各校で盛んな「民俗の日」行事、日本学校・市民との交流など、多彩なイベントを子供たち自身が企画し、成功させた例も数多く報告された。クラスで起きたいじめに子供たち自身が対処、解決した例もあった。

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 朝鮮学校といっても全国一律ではない。都市部の同胞密集地域にある比較的生徒数の多い大規模校と、地方の同胞分散地域にある比較的生徒数の少ない小規模校では置かれた条件が違う。これまでは、大規模校の経験が一般化される傾向があったが、今回、「小規模校」という言葉がタイトルについたレポートがいくつか目についた。それぞれ、生徒数が少ないことをメリットに転化させ、生かそうとする努力の跡がうかがえた。

 また保護者と学校のコミュニケーション、ひいては家庭での家族の対話を促すために有効だった学級新聞作り、障害を持つ生徒に民族教育を受ける権利を保障するため、日本の行政や養護学校とも連携した経験なども目を引いた。障害児教育は、九九年の前回大会で初めてきちんとした調査報告、発表が行われた分野。近年、民族教育を求める保護者と本人のニーズにより、不十分な体制ながらも受け入れている例が増えつつあるようだ。今後、こうした経験を蓄積してより広く一般化する必要があるだろう。

 2003年から朝鮮学校では第2、第4土曜日を休校にし、第1、第3土曜日に各種の課外活動を行う隔週の学校5日制がスタートする。昨年4月から11校の指定実験校が第1、第3土曜日の活用法について研究中だ。大会では、指定実験校の取り組みの成果と本格実施に向けた課題も発表された。

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 2年前の前回大会になかった特徴は、数学・情報分科のみならず、理科、社会、日本語、英語など、あらゆる分科でコンピュータやインターネットを活用した経験が報告されていたことだ。新しい物を積極的に取り入れて、子供たちの興味を引く楽しい授業作りに取り組む教員たちの情熱が垣間見られた。

 数学・情報分科では、学校運営全般の情報化に関する詳細なレポートも複数あった。学校のホームページを通じた保護者、卒業生とのコミュニケーションや対外宣伝活動についての経験も報告された。各報告は、今後を展望してさらなる学校の情報化が不可欠であることを重要な課題として示していた。

 高級部生徒指導分科には、昨年開設された同胞就職情報センターの職員が参加し、活動内容の説明を行った。今後、各地の朝高とセンターが連携し、生徒たちの就職問題を解決していくことが話し合われた。(韓東賢記者)

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