在日朝鮮人の歴史Q&A
「11.27」生活権擁護闘争とは?
差別と貧困の中で起きる/神戸長田が発端、他府県にも
同胞の生活権を守るたたかいは神戸の
長田区役所を中心に展開された
Q 「11.27」生活権擁護闘争というのがあったと聞きますが。
A この闘争は1950年11月下旬、神戸の長田区役所を中心に展開された同胞の生活権を守るたたかいをさします。「第2次神戸事件」とも言われています。しかし実際の闘争は、長田以外でも兵庫県各地や他府県で展開されています。 当時同胞のほとんどは、差別と貧困のためどん底の生活を強いられており、60万同胞のうち貧困でないものは2%にも満たない状態でした。このような生活状況下で起こったたたかいが、「11.27」闘争だったのです。 ことの始まりは11月20日、西神戸朝鮮学校の学童を含む約300人の同胞が「生活保護法の即時適用」「パンを与えよ」「税金免除」の3項目の要求を掲げて長田区役所に赴き区長と交渉をしたことです。すると突然、警官隊が出動してきて外国人登録証不携帯で婦人たちを検束し、それを阻止しようとした全相福氏を逮捕したのです。 続いて24日、西神戸朝鮮学校に集合した300人の同胞と学童は2隊に分かれ、1隊は長田警察署へ行き、全氏らの釈放を要求、別の1隊は長田区役所を訪れ20日の3項目要求の回答を求めました。しかし区役所では退去命令が出され、300人の警官が出動、もみ合いの末26人が検挙され、警察署においても学童と共にスクラムを組んでいた女教員が逮捕されます。 これが発端となって27日、県下各地から約1000人の同胞が西神戸の学校に集まって大会を開き、神戸市役所、長田警察署、長田区役所に交渉団を派遣します。これに対し警察は神戸市警初の甲号非常召集を発令して1500人の武装警官を動員、学校を包囲して集会禁止令を発令。多数の同胞がデモに移ったところ、警官隊と衝突して乱闘になり、179人が検挙、騒乱罪などで多数が起訴されます。裁判の結果、7人が懲役4ヵ月から1年6ヵ月、10人が罰金2000円の有罪判決を受けています。(金大遠、研究家) |