出会い−民族結婚@・・・・同胞結婚所がサポート

数回の見合い後、ピンときた

お互いの主張調整し結納


民族結婚について相談に訪れる同胞に対応する相談員


 1994年3月に開設された同胞結婚相談中央センターと7つの地方センター・37の相談所。これまで、センター・相談所主催の見合いと出逢いのパーティーを通じて、1618組のカップルがゴールインした。民族結婚を願いどのような経緯を経てゴールインに至ったのか、そしてその時、センター・相談所はどのように対応したのか。今号からそれぞれのケースを紹介していく。

飲食業と看護婦

林、高さん夫妻の場合

 都内に暮らす林昌一(41)、高成美(35)夫妻(いずれも仮名)。同胞結婚相談所の紹介で見合いをし、半年間の交際を経て98年12月に結婚した。

 林さんは、東京朝高から日本の音楽大学に進学。卒業後、両親が営んでいたお好み焼き屋を受け継いだ。

 花嫁探しは「自分で」と思っていたものの、仕事が忙しく、なかなか同胞女性と巡り合うきっかけがなかった。両親の知人の紹介で、見合いをしたことはある。しかし、封采(結納)がない済州道を故郷に持ち、両親の面倒を見なければならない長男、自分の時間をあまり作れない飲食業ということで、交際にまでは至らなかった。そのうちに、「30代後半に入ってしまった」という。

 一方、高さんは大阪朝高、看護学校卒業後、父の仕事の都合で神奈川県に引越し、看護婦の仕事に就いた。夜勤が多く休日でも休めないことの多い仕事、それに見知らぬ土地とあって、同胞男性と知り合う機会がほとんどなく、「30代を迎えてしまった」という。

 同胞結婚相談所を訪れたのは、そんな2人の将来を考えた双方の両親だった。いずれも97年の中旬のことである。そして2人は、「チョンシル・ホンシル」ネットワークに入会した。

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 「チョンシル・ホンシル」ネットワークに入会を決めると、プロフィール用紙に写真を添え申し込む。現在の会員数は約9400人。見合いの相手は、全国をオンラインで結んだネットワークによるコンピュータマッチングとカウンセラーの判断で選ばれ、先方のプロフィールと写真入りの紹介カードが会員の手元に届く。

 気に入れば、第1ステップの見合いだ。ホテルの喫茶店などで行い、会員間の簡単な紹介が済むと、相談員はその場を去る。見合い後、相談員から電話があり、双方に交際の意思があれば、その旨を伝え交際が始まる。ここから結婚への第2ステップが始まる。相談員からは月に1度、交際をサポートする電話が寄せられる。

 中央センターの魏正所長は、「プロポーズは、女性の気持ちを尊重し、男性からすべきです。また決断を下す期間は、3〜6ヵ月が目安。半年が過ぎても互いの意思が1つにならないようなら、早めに見極めるべきでしょう」と助言する。

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 林さんは、入会後の1年間に、7人と見合いをしたが、交際には至らなかった。気持ちはあせる一方だったが、「縁はあっても、フィーリングが合わない場合もある」と期待を込め、8回目の見合いにチャレンジ。そこで高さんと出逢った。

   「朝鮮女性らしく、民族的感情にあふれる、理想の女性だった」(林さん)。

 高さんも数回の見合いの後だったが、林さんと会った時、「この人だとピンときた」と言う。

 実は高さんは見合い前、長男という林さんの立場にためらったという。しかし、「実際に会って見ると、そんなためらいは吹っ飛んでしまった。一目ぼれです。だって音楽を楽しみ、ロマンがあり、とてもやさしい。それに包容力もあり、この人なら私を必ず幸せにしてくれると思った」。

 そして2人は、忙しい仕事の合間をぬってデートを重ね、将来を誓い合った。

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 相談所では、婚約から挙式に至るプロセス、さらには300のブライダル関連業者に関する情報や紹介も行なっている。

 この2人の場合、結納がない済州道を故郷に置く林家と、経済的な理由から結納を望む高家との主張を相談所が調整し、結納を行なった。そして98年12月、東京・錦糸町のロッテプラザで式を挙げた。相談所の紹介で、特別価格で式場を利用できたという。

 高さんは、「見合いは恥ずかしいという気持ちがあったが、見合いでもこんなに素晴らしい人と一緒になれるのだから」と語る。林さんも、「両親は孫(男子)の顔を見ようと、毎日のように家に訪ねてくる。幸せな家庭を築けた。相談所のお陰です」。

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 ゴールインしたカップルは一様に、「初めて出逢った気がしない」との感想を述べている。それは相談所がただ単に相手を紹介するのではなく、互いの相性をふまえ、ピッタリの人との出逢いのチャンスを提供するからだ。

 昨年末には、恋愛結婚と見合い結婚の比率が逆転したとも言われている。

 幸せな家庭を築いた林、高さん夫妻を見て、「両家の親戚や地域の同胞らが、子供たちに幸せな民族結婚をと相談所を訪ねてくるようになった」(魏所長)という。  (羅基哲記者)

 入会・資料請求などの問い合わせ=同胞結婚相談中央センター(TEL 03・3818・7001)および地方センター、各相談所。ホームページ=http://www.kyoron.net

各地の相談所から/埼玉

鄭貞順(56)埼玉同胞結婚相談所副所長

 相談所には、総聯だけでなく、民団傘下の同胞や、民族教育を受けていない人たちも入会を申し入れています。また若い人たちの入会も増えています。相談所を通じて、1人でも多くの同胞が民族結婚できるよう、私たちがサポートします。(埼玉同胞結婚相談所=TEL 048・830・1888)

ワンポイントアドバイス

婚姻届け

 市区町村役場に婚姻届を提出する際、外国人登録の表示によって提出するものが異なる。

 「朝鮮」の場合、外国人登録済証明書と、「本国法上、婚姻要件に障害がない」旨を明記した申述書を提出すれば、婚姻届は受理される。戸籍謄本の提出を求められることがあるが、朝鮮には戸籍制度がないため、提出する必要はない。

 「韓国」の場合は、戸籍謄本とその翻訳、パスポートがいる。

 帰化した同胞を含む日本国籍の場合、住民票が必要。

 また、婚姻届を提出する際には、成人2人(20歳以上、両親でも可能)の証人の署名と押印が必要だ。

 婚姻届、申述書、証人などの書類はいずれも役所の戸籍記録係にある。

出生届け

 日本で生まれた特別永住者の子供の登録は、出生から60日以内に、その居住地の市町村長あてに外国人登録申請書を提出すればよい。

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