総聯に対する陰湿なひぼう・中傷攻撃

稚拙、低劣な週刊「文春」の「失踪」「亡命」報道


お粗末きわまりない代物

 マスコミには、犯してはならないルールがある。そのなかでも、「事実確認をする」=「ウソを書かない」「盗作をしない」ということは取材、記事を掲載する時の大前提、初歩的なルールであることは常識である。

 逆にいうと、このルールを守らないマスコミは、マスコミとして認めてもらえない。ゴシップネタを扱い、その見返りとして金品を要求したり提供されたり、何らかの見返りを受ける「ブラックジャーナリズム」のらく印を押され、マスコミの社会では相手にされなくなる。

 週刊「文春」12月27日号が「独占スクープ」と銘打って掲載した「朝鮮総連最高実力者が失踪  米国へ亡命工作キャッチした!」という記事は、まさにそんな類の、お粗末きわまりない代物である。

 いったい、ジャーナリズム、マスコミを名乗ることが恥ずかしくないのか、といいたくなる。

得たいの知れない「情報中枢筋」

 3ページからなる同誌の記事は、見出しにあるように「朝鮮総連最高実力者の失踪」、そして「米国への亡命工作」という二つの要素が柱だ。つまり、この二つの要素がなければ、記事としては成立しない。

 前文では「亡命した」と断言。そして結論として「日米情報中枢筋」という得体の知れない情報源の話をもとに、「その人物はアメリカ大使館の中にはいないが、某所で潜伏している。…亡命申請には時間がかかるから、今後の成り行きを見守りたい」とまで言い切っている。これが事実なら一大事件である。

今日に至るも中央本部が執務

 では事実はどうなのか。「失踪」「亡命」情報が駆け巡った12月14日午後から今日に至るまで、週刊「文春」のいう「朝鮮総連最高実力者」は、東京・千代田区富士見の総聯中央本部会館で朝早くから夕方遅くまで精力的に執務をこなしている。

 また、20日に都内で開かれた「総聯過剰捜査を憂う市民集会」で報告した「朝銀問題に対する公正捜査を求める弁護団」の吉峯啓晴・主任弁護士は発言のなかで、そのあまりの茶番さかげんに、「亡命したはずの許責任副議長と会いましたよ」と発言。あきれ返る始末だ。

 事実はこの通りだ。となれば、週刊「文春」に尋ねるほかはないが、「亡命」するために「某所で潜伏」しているはずの「朝鮮総連最高実力者」とは、一体だれなのか。ぜひ回答してほしいものだ。

情報の出所は「警察・公安筋」

 本紙が取材したところ、「失踪」「亡命」情報が流れ始めたのは14日ではなく、10日前後からだったという。「米国大使館を訪ねていった」というものだった。さらにはソウル情報として、「8月下旬あるいは9月初旬、康元財政局長と米国大使館を訪れていた」というものまであった。

 情報の出所についてある記者は、「警察・公安筋」だと断言する。そして、「尾行していた公安筋が何かの拍子で一時見失い、あわてて探し回った結果、虎の門の米国大使館付近で見つけた類の話を大げさに作ったのだろう。『失踪』『亡命』うんぬんが、かりに事実だったら、米国は絶対にそのような極秘情報を明かさない。万が一漏れるようだったら、米政府内部で大問題になる」とも。

 また別の関係者は、週刊「文春」の記事を読んで「動機がまったく書かれていない。推測、憶測、手前味噌な分析の羅列」と前置きしながら、「だいたいからして、核心部分を語っている『日米情報中枢筋』って何ですか。米国と日本の情報機関は上下関係にあるんであって、横並びにはない。この分野のイロハも知らない素人が、そこらの噂にコメントをつぎはぎにして作ったものでしょう。笑止千万」と一蹴する。

「くさび」打つことが狙い

 周知のように、朝銀問題を口実にした総聯中央本部などに対する不当な政治弾圧を契機に日本の各マスコミは、人々を覚醒させる「社会の木鐸(ぼくたく)」という本来の使命をかなぐりすてるかのように、捜査当局がリークした情報をもとに一体となって、総聯組織に対するひぼう・中傷攻撃を繰り広げている。

 中央本部強制捜索を、始まってもいない前日の夕刊で報じた読売、産経はいうに及ばず、内部からさえ意見が出たという朝日新聞11月20日付1面トップ記事、それに続く12月8日付の「朝鮮学校報道」、テレビ朝日「サンデー・プロジェクト『特集』」など枚挙にいとまがない。

 とくに謀略報道としかいいようのない朝日新聞、そしてテレビ朝日の報道に対しては、多くの在日同胞たちが訂正、謝罪を求めて連日、怒りの抗議を行い、本紙でも厳しく指弾する論評を掲載し本質を明らかにした。

 これら一連の報道の狙いは、いうまでもなく日本の世論をミスリードするとともに、在日同胞と総聯組織の間に楔(くさび)を打ち込んで、最後には総聯組織そのものをつぶそうとする点にあることは在日同胞ならずとも、誰の目にも明白である。

 週刊「文春」の記事は、その中間総括的な効果を狙った「警察・公安筋」肝いり、共同制作の代物である。こうした類の悪質かつ稚拙、低劣な、朝鮮人差別をむき出しにしたマスコミの存在を許してはならない。

 記者としては、法的手段に訴えてでも、絶対に白黒をはっきりとさせるべきだと思う。(彦)

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事