取材ノート

後輩たちに感謝


 「感動した」。今年流行語大賞を受賞した小泉首相流に言えば、さしずめこんなところか。

 8日に東京の日比谷公会堂で開かれた「民族サラン!  留学同フェスティバル」。全国規模による初めてのイベントで、演劇、サムルノリ、合唱、朝鮮舞踊など盛り沢山の内容だった。

 出演者はすべて現役の同胞学生。留学同に所属する学生たちの日常生活、民族教育を守りぬいた先輩たちのたたかいなどを通して、日本で民族性を守っていくことの大切さを、あますところなく見せてくれた。

 客席には学生たちの情熱がそのまま伝わってきた。「最近、こんな重いテーマになかなか出会わないが、考えさせられた」と感想を述べる人もいた。隣に偶然座った日本のラジオ局のリポーターは、「こんなに良い作品ならほかの人も連れてくればよかった。ぜひ、来年も同じ内容で公演してほしい」と話していた。

 だが実は、記者は本番を見るまで多少不安だった。

 イベントは年初から、最も重要な行事として企画された。何回も会議を開き、脚本を練り直すなど、準備を重ねてきた。学業の合間に行われる練習のため、時間をねん出するのは並大抵のことではなかった。静岡、名古屋などと遠く離れているため、なかなか一緒に練習ができない東海地方のような場合もあった。

 イベントの取材を始めたのは本番の2カ月ほど前からだったが、本音を言えば、「大丈夫かな」と心配になる部分もあった。本番の日はリハーサルの時間がずれこむほど、最後まで微調整が続けられた。そんな姿を見ながら、記者というよりは、一OBとして気が気ではなかった。

 だが、後輩たちは本番で100%以上の力を発揮し、見る者に感動を与えてくれた。そのことに感謝したい。

 「在日社会の未来は彼らに任せられる」。ある大先輩が帰り際に語ったひと言が耳に残った。(聖)

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