オンマの家計簿Q&A―韓鐘哲(21)

老後生活資金の管理方法は

目的別に分けて運用を


   夫の定年退職を目前に控えた50歳代の主婦です。長年蓄えてきた金融資産と夫の退職金、そして夫の年金でどうにか退職後の生活を維持することができそうですが、私たちが生きている間に蓄えが底をついてしまうのではないかと不安になります。老後生活費になる金融資産の管理方法があるのならば教えてください。

   今回は、老後の生活について最も具体的に計画を立てなければならない、退職を目前に控えている方の老後生活資金の管理方法について説明します。「夫の退職までには、まだまだ時間があるから…」という方も多いとは思いますが、最終的には全ての方々が考えなければならないことなので、自分のことだと思って読み進んでください。

 夫が退職を目前に控えているということは、当然これから老後の生活資金を準備するというわけではなく、これまで築いてきた資産と退職金がある方はそれを加えた金融資産、そして今後の収入(再就職した場合の給料、公的年金、保険等の私的年金、子供からの援助など)をどのように有効に管理していくかを考えることになります。

 老後生活費を管理するうえで最も注意すべきことは、資産管理が「どんぶり勘定」になってはいけないということです。なぜなら、夫が現役で働いていたときは、家計が若干不足しても翌月の給料やボーナスで補うことが可能でしたが、退職後の収入源は非常に限定されるため、不足分を補うことが容易ではないからです。今まで以上に管理をしっかりしてください。

 それでは、老後生活費はどのように管理すればよいのでしょう。このような質問に対して提案しているのが、手持ちの資産を「分別管理して運用する」ということです。これは老後の生活の財源である金融資産を目的、使い道によって管理・運用する方法で、一言で言うと「全てのお金に役割を持たせ、その特性に合った運用をする」ということです。具体的には、

 @生活資金…基本生活費の不足を補てんするための元手とする資金

 A予備資金…病気や災害など不測の事態に備えるための資金

 Bゆとり資金…旅行や趣味など自分がやりたいことのため、生活レベル向上のための資金

の3つに分けます。このように分けることで何のためにいくらお金を使うことができるのか、それぞれ役割を持たせた資金にどれだけの余裕があるのかということが把握しやすくなります。

 また、分別管理をすることで、それぞれ目的を持たせた資金の特性に合わせた効率の良い資産運用が可能となります。それぞれの資金の特性と、それに合った資産運用のポイントは次のようになります。

 @生活資金  特に使用するまでの貯蓄期間が短く、必要になったときにはすぐ使われる資金なので、安全性と流動性を重視した性格の金融商品を選択します。

 A予備資金  使用される時期は決まっていないが、必要なときにはすぐ使われる資金なので、いつでも即座に使えるように流動性の高い性格の金融商品で、できれば貯蓄期間に応じて利率が高くなるような金融商品を選択します。

 Bゆとり資金  使用するまでに一定以上の貯蓄期間がある資金なので、安全性や流動性には若干不安があっても、収益性の高い性格の金融商品から選択するのも良いでしょう。

 しかし、現在の金融市場は低金利、株価の下落など資産運用をするにはたいへん厳しい状況です。大切な老後生活資金ですから、よほど自信がない限り、ご自分で資産運用するのではなく専門家と相談しながら運用することをお薦めします。
(ハン・ジョンチョル  ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)

◎金融商品を決める3つの特性

@「安全性」…金融機関の破たんや業務停止、運用の失敗、または経済環境の変化によって元本や利息が減ってしまうことなく、期待したとおり確実に受け取れるかどうかをいう

A「流動性」…金融商品を現金に換えるまでの日数がどのくらいかかるかをいう

B「収益性」…その金融商品がどれほど高い利息や値上がりが見込まれるかをいう

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