強行される総聯に対する捜査
前例のない不当な政治弾圧
背景に根深い民族差別と敵視政策
日本の警察権力による総聯に対する不当な捜査が執ように続けられている。朝銀東京の「検査忌避」を突破口にして行われている総聯に対する捜査は、強制捜索が総聯中央本部にまで及ぶなど前例のない政治弾圧の様相を呈している。
警察権力の狙い
朝銀問題は、本来、バブル経済が生んだ金融問題で、多くの金融機関も同様の問題をかかえている。にもかかわらず、朝銀問題は今とてつもない政治事件に仕立てられようとしている。 警察権力が朝銀の前、現職の職員だけでなく、総聯の元財政局長を逮捕し、総聯の中央本部にまで捜索の手を伸ばす暴挙に及んだのは偶然ではない。 元財政局長の容疑は「横領」。しかし、弁護団によればその根拠はきわめて薄弱で、誤認逮捕の可能性もある。 それでは警察が元財政局長を逮捕した狙いはどこにあるのか。 マスコミ報道によれば、「朝銀マネーの流れの解明」などと伝えられているが、関係筋から漏れ伝わるところによれば、警察はいわゆる「送金疑惑」を立証するために躍起になっているという。 この「送金疑惑」なるものには、もともと根拠がない。さかのぼれば「送金疑惑」がマスコミで取り扱われたのは1989年のこと。冷戦崩壊という国際情勢の変化を背景に、反朝鮮宣伝が強まる中、日本では一部のマスコミによって突如「パチンコ疑惑」なるものが取りざたされた。「パチンコ業者がもうけたお金が共和国に不正に送金され軍備などにつかわれている」とする根拠のない謀略めいたキャンペーンであった。 これを機に「送金疑惑」という謀略宣伝は一人歩きする。93年から94年にかけて米国によって作り出された「核疑惑」の時も持ち出されただけでなく、98年に朝鮮が人工衛星を打ち上げたときは、「送金された資金がミサイル開発に使われた」などの途方もない虚偽宣伝が何らの根拠もないまま公然と繰り返された。 時を同じくして、在日朝鮮人に対する弾圧と迫害が加えられたことは記憶に新しい。 「核疑惑」時には、警察権力による、総聯大阪および京都本部に対する不当きわまりない強制捜索が強行されたばかりか、人工衛星打ち上げ時には、朝鮮学校に通う女子学生に対する卑劣な暴行事件が相次いだ。暴行事件の犯人に対する捜査がまともに行われず、犯人はいまだに逮捕されていない。 朝銀問題を口実にした総聯に対する捜査は、このような流れの延長線上にある。 団結して生活擁護を 日本の警察権力が積み重ねてきた反朝鮮、反総聯の謀略宣伝に乗って、総聯に対する前例のない政治弾圧に乗り出しているのが実相であろう。 周知のように総聯は、在日朝鮮人の権利擁護団体で、内政不干渉と合法活動を一貫させてきた。 しかし、朝鮮の解放後日本政府は過去の清算に顔をそむけたまま、一貫して在日朝鮮人を敵視し、弾圧の対象として扱い民族差別を助長してきた。 朝銀について述べれば、その前身である同和信用組合が設立されたのは、1952年6月のことだ。在日朝鮮人が相互扶助を目的に信用組合を設立したのは、日本の金融機関が民族差別に基づき在日朝鮮人に対する融資の道を閉ざしたためだ。当時日本で、「外国人による金融機関などもってのほか」「融資を受けたいのなら帰化せよ」と差別政策が貫かれたことを在日朝鮮人は忘れていない。 朝銀の設立に見るように、在日朝鮮人は常に、日本政府の差別政策により、人権、生活権が脅かされる中、団結して自らの権利を主張し勝ち取ってきたのだ。 現在も総聯が「破防法」の適用団体に規定されていることは、在日に対する日本の排外政策、弾圧政策、差別政策を物語るものだ。 朝銀問題が政治事件化される中で、一部のマスコミは公的資金の投入、つまり朝銀に日本国民の血税が投入されていいのか、などと民族差別をあおっている。 在日朝鮮人が日本で平和的な生活、企業活動を営み、税金を納めてきたことは周知の事実である。にもかかわらずこの事実を意図的に伏せて血税うんぬんする目的は何なのか。 朝銀問題を口実に行われている総聯に対する前例のない弾圧は、根深い民族差別と敵視政策によって強行されている。 過去の歴史がそうであったように、在日朝鮮人は総聯に団結することによって差別をはねのけ自らの生活と人権、民族的権利を守ってきた。不当な弾圧に対抗して団結して正当な権利を主張し闘うことが、生活と運動を守る道であることを忘れてはならない。 |