アルコールハラスメント
送年会シーズン 無理に勧めることはやめる
21世紀元年もあとわずか。読者の方々にとって、今年はどんな年だったろうか?
12月に入り、いよいよ1年で1番忙しい時期に突入した。仕事につき合いに、連日、多忙な年末をお過ごしだろう。送年会やコンパなどが頻繁に行われるこの時期、やはり注意しなければならないのがほかならぬお酒だ。新聞には例年のように「イッキ飲み」により尊い命が奪われたとの記事を目にする。
イッキ飲み防止連絡協議会(加来仁代表)は、第9回イッキ飲み防止キャンペーンの一環として今年の上半期に「あなたの隠れアルハラ(アルコール・ハラスメント)度」に関するアンケート調査を実施した(アンケートの詳報は別掲。アルコール・ハラスメントとはアルコールにまつわるいやがらせ・人権侵害の総称)。 その結果、10〜20代の男性の約3割が「飲み会を盛り上げるために イッキ が必要」、「みんなで酔ってこそ連帯感が生まれる」と考える傾向があり、協議会が従来から指摘していたとおり、若い層に「集団的アルハラ」の土壌があることが改めて証明される形になった。 ◇ ◇ アンケートは1676人(男性718人、女性933人、性別不明25人)を対象に実施された。回答者を職業別に見ると、大学生1260人、社会人398人、不明18人で、年代別では10代583人、20代794人、30代120人、40代90人、50代53人、60代以上12人、不明24人で、特定非営利活動法人アスク(アルコール薬物問題全国市民協会)と中部学院大学人間福祉学部健康福祉学科教授田久浩志氏の協力のもとで行われた。 アンケート調査は11項目ある「隠れアルハラ度チェックリスト」のうち、該当する項目に印(○は該当、×または無記入は無該当)をつける方式。分析結果によると、若い世代で約3割が「飲み会を盛り上げるために イッキ が必要」と答えたほかに、「訓練すればアルコールに強くなる」、「相手の本音を聞こうと思ったら、まず飲ませるのが得策」という回答が年代に左右されずに多く、これは幅広い年代層に「個人的アルハラ」の土壌があることが示された。さらに、「相手にアルコールをすすめるのは 礼儀 だ」と思う人は年代が上がるごとに増加傾向にあり、上の年代層では知らず知らずのうちに「礼儀」のつもりの「個人的アルハラ」をしてしまっていることがわかった。 一方、大学生の学年差で結果を分析すると、男女子大学生ともに高学年の方が低学年よりも「相手にアルコールをすすめるのは 礼儀 だ」と考える傾向が高く、女子では「相手の本音を聞こうと思ったら、まず飲ませるのが得策」と思う人は学年が上がることに減少していた。 そのほかには、男子大学1年生〜大学院修士1年生、女子大学1年生〜4年生の各学年で「未成年でもほんの少しなら飲ませてもかまわない」が1位、「訓練すればアルコールに強くなる」が2位の順でランクされた。とくに「未成年…」は、男子大学生すべての学年の過半数に達し、全年代で1位か2位を占めた。 年代別「隠れアルハラ度」を分析すると、10代男性は○2個、20代男性○3個、40代男性○2個、50代男性○0個、60代以上男性○0個、とつけた人がそれぞれの年代で1番多かった(全体の9割弱が○5個以内)。また、参考までに、女性の年代別アルハラ度(社会人女性の回答数が少なかったため)を見てみると10代女性○1個、20〜60代女性○0個、をつけた人が1番多く、総じて男性より隠れアルハラ度は低い結果となった。○を1個もつけなかった男子は全体の27%、女子は全体の20%。 今回アンケート調査によって、「訓練すればアルコールに強くなる」、「未成年でもほんの少しなら飲ませてもかまわない」との回答が最も多く占めたが、この結果は、アルコールに対する正しい知識と節度ある行動がともなうことを要求される結果となった。「訓練」により酒量を増やすということは、飲める、飲めない人にかかわらず、内臓疾患、アルコール依存症、肝臓病などのリスクを高める行為であり、未成年者にアルコールをすすめることは、まだ発達途中の未成年者の脳をアルコールによって、わざわざ壊す行為となるゆえだ。 また、イッキ飲みは飲める人のみならず、まったく飲めない人には自殺行為に等しい行為であり、事が起こってから後悔するのではなく、イッキ飲み以外の飲み会の盛り上げ方を考えることが先決だ。(イッキ飲み防止連絡協議会のアンケート調査参照) アンケート調査詳報 アンケート調査詳報(設問は一部のみ、数字は%) ◆「飲み会を盛り上げるために イッキ は必要」 男子大学生 ◆「相手にアルコールを勧めるのは 礼儀 だ」 男子大学生 ◆「訓練すればアルコールは強くなる」 男子大学生 ◆「未成年でもほんの少しなら飲ませてもかまわない」 男子大学生 |