春・夏・秋・冬 |
早朝、ラジオをつけたら、侵略戦争に敗れたことも知らずに、グアム島山中の洞窟に立てこもり続けていた経験を持つ元日本軍兵士の話が耳に入ってきた。話のすべてを聞いたわけではないが、その元兵士が「教育は本当に大事です」と語っていたことが印象に残った
▼「天皇のために」という一点で、戦っている戦争がどういう性質のものなのか、考えさせる余地すら与えなかった「軍国主義教育」の結果、アジア諸国に多大な被害をもたらした、という反省から出た言葉だった ▼また、米軍の捕虜になって初めてジュネーブ協定というものが存在することを教えられ、捕虜にもかかわらず働いた分の賃金を米軍から支給されたときの驚きといえば、ただただいかに日本の国民が無知な状態に置かれていたのか、とがく然とする以外になかったという ▼日本の敗戦から半世紀以上が過ぎたこんにち、こうした話はさまざまな形で紹介されてきたが、その反面、侵略という過去に日本が真っ正面から向き合ってきたのかどうか、首をかしげざるをえない。わが朝鮮民族にとっては、いうまでもなくノーである。朝鮮半島を不法に植民地支配した事実について、認めようともせず謝罪はおろか清算もしていない ▼3日からオランダ・ハーグで開かれた「日本軍性奴隷制を裁く『女性国際法廷』」は、侵略戦争の最高司令官・昭和天皇や元首相・東条英機ら9人に人道に反する犯罪の責任があると有罪判決を下し、日本に国家としての謝罪、補償を求めた。過去と向き合わなければ、間違いは繰り返すものである。(彦) |