「PEACE for AFGHAN」
報復戦争反対の女性シンポ
「世界中から反戦メッセージ
無関心は最大の罪」
東京・主婦会館で開かれたシンポの模様
(11月22日)
9月11日のNY同時多発テロ事件以降、アメリカの軍事的報復を追随し、それをあおるような報道が繰り返される中で、米軍の空爆反対の声も高まっている。
11月22日、東京・千代田区の主婦会館で、シンポジウム「PEACE for AFGHAN」が開かれ、吉武輝子、辻元清美、松井やより、土井たか子さんらがパネリストとして参加。「アフガン戦争をどう考えるのか」(吉武輝子)、「パキスタンからの報告」(辻元清美)、「世界の女性たちの反戦を訴える声」(松井やより)、「私たちには何ができるのか」(土井たか子)などについて発言した。 その中でジャーナリストの松井さんは、事件直後にアメリカの女性グループから反戦のメッセージを受け取ったことや、グァテマラの先住民族のノーベル賞を受賞した女性が、ブッシュ大統領にあてた手紙に「報復戦争かテロ支援のいずれかを選択せよという、二者択一を迫るような傲慢さには賛同できない」との内容が含まれていたこと、コソボの女性からは「紛争の復旧を支援してくれたアメリカの人々は、身内を失った怒りと憎しみにもだえるコソボの人々に、『もう復讐はやめなさい、和解こそ解決なんだ』と言った。今回のテロで被害を受けた苦しみはわかるが、その復讐心をどうか鎮めて軍事行動は思いとどまって欲しい。報復では決して解決にならない」との声が寄せられたと紹介。さらに世界中の女性たちや女性団体からインターネットのホームページやEメールを通じて寄せられてきた「暴力による暴力の悪循環で決してテロは根絶しない」という、膨大な量の反戦メッセージを紹介した。 テロを生み出す土壌は貧困にあり、経済のグローバル化は貧富の格差や地域紛争、原理主義や軍事主義といった過激な動きに結びつくと松井さんは主張する。そして今回のテロ事件と関連して起こっている反米気運の背景には、アメリカによる経済支配、軍事支配に対する反感があると指摘。 松井さんは反テロの立場は自明だとして、米国は軍事的な手段での報復ではなく、国際法で裁くべきだと強調した。また、オサマ・ビンラディン氏の潜伏先とされるアフガニスタンの現実を、映画「カンダハール」制作に込めたイランの映画監督モフセン・マフマルバフさんの著書「アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない恥辱のあまり崩れ落ちたのだ」(現代企画室)を引用して、NY大惨事の一方で、飢えと貧困ゆえにこの事件の犠牲者数を大幅に上回る死者が存在しながらも、仏像にばかり関心を寄せてきた西側メディアや世界の人々からはほとんど無視され続けてきたアフガニスタンの悲劇について触れた。 マフマルバフさんは著書の中で、アフガニスタンの窮状を結果的に維持してきた大きな要因の一つが、世界の無関心であることを指摘している。「沈黙は現状を許すこと。すべてのできごとは、沈黙してはいけない、行動せよという強いメッセージを発してる」と、松井さんは、無関心が最大の犯罪であることを力説した。 10月末にNGO団体のスタッフらと共にパキスタンを訪問し、現地の病院や作業所を直接見てきた衆院議員の辻元さんは、世界で一番貧しい国に攻撃を加えるアメリカに、なぜ日本が加勢するのかと憤りを表し、憲法改正の欺まん性を指摘した。そして「テロの根底には貧困がある、貧困をどう克服していくかを真剣に考えなくてはならない」と主張した。 世界に広がる女性たちの反戦の声。こんなときにこそ、日本の断片的な、一方的報道ではなく、視野を広げ洞察力を働かせ、この戦争の本質を追求する声に耳を傾けていくべきであろう。(金潤順記者) |