オンマの家計簿Q&A―韓鐘哲(19)
老後にどう対処すれば?
具体的なイメージ目標に準備を
Q
もうすぐ40歳になる主婦です。わが家はサラリーマンの夫(40歳)と娘1人(15歳)の3人家族です。最近、老後の生活について考えることがあるのですが、とても不安になります。いずれ娘は結婚して家を出ることになるので、老後は夫と2人で過ごすことになります。老後生活に対し何を、どのように考え、対処したらよいのですか?
A おそらく、今回の質問のようなことは、この記事を読んでいるほとんどの方が1度は考え、そして不安に思ったことがあるのではないかと思います。現在、日本の平均寿命は、男性は77.10歳、女性は83.99歳といわれています。われわれ在日同胞の平均寿命も同程度ではないかと思われます。一般的サラリーマンの定年年齢が60歳ですから、定年退職後に約20年の 老後生活 があることになります。では、老後のことを考えると なぜ 不安になるのでしょうか。改正があるたびに受給できる金額が少なくなってしまう公的年金、退職金の支給額、病気や介護に対する問題、インフレなど不安材料が多いことが老後を不安にさせる原因であることはいうまでもありませんが、個人的には 老後 という言葉から連想される、 きわめてばく然 とした不安の方が大きいのではないかと思います。 表を見てください。この表は、日銀の金融広報中央委員会が毎年行う「家計の金融資産に関する世論調査(平成13年)」の「老後生活への心配(年代別)」という調査項目の回答結果です。この結果を見ると「多少」だろうが、「非常に」だろうが、老後生活を心配だと思っている人は多いと感じるでしょう。老後生活が心配な理由としては、半数以上が「十分な貯蓄がないから」「年金や保険が十分ではないから」という回答です。しかし、ここで「それほど心配していない」という回答に注目してください。 年齢別に見ると30歳代以降、年齢を重ねるごとにその比率が多くなっています。これは年とともに年収や金融資産が増えていき不安が薄れていくからだと考えられます。また、それとともに自分がもらえる公的年金や退職金などの金額が具体性を帯び、老後の生活と家計が少しずつ見えてきたことによる安心感が出てきたからだとも考えられます。 だとしたら、老後の生活をいたずらに不安がらずに、どのような老後生活を送るのかを前向きに考えて、少しずつ具体的にイメージし、それを目標に準備を進めていくのが大切です。 「準備」とは、@老後をどう生きるか・生きたいか、A老後の生活費をどのように確保するか、B病気や介護に対する「保障」をどうするかという3つに分けることができます。これらは各個人の目標、目的、考え方によって、それぞれ必要額が異なってきます。そして、その必要額を貯蓄や保険で準備することになるのです。 このように、自分自身の老後生活を具体的に考えることでばく然としていた不安が解消され、それに対する準備を前向きにすることが可能になります。大切なことは自分自身のライフプランをしっかり考え、自助努力、自己責任で老後生活を考えることです。(ハン・ジョンチョル ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士) |