オンマの家計簿Q&A―韓鐘哲(18)
投資初心者のリスク軽減法は?
分散投資と長期保有が基本
Q
いままで銀行や郵便局の定期預金、定額貯金に資産を預けてきました。しかし、現在のような低金利時代では銀行・郵便局に預けたままでは資産が増えないので、多少リスクがあっても利回りの良い投資を始めてみようと思います。ただ、あまり損はしたくないので、投資をはじめる初心者でもわかるリスク軽減方法がありましたら教えてください。
A 今まで私たちは、お金を増やそうと思うと安定性を重視して銀行や郵便局を利用してきました。しかし、時代は変わり、日本経済は低成長時代となりました。以前のような給与所得者は定期的な昇給が期待でき、預金の金利も年5%以上の時代ならば、特別の資産運用をしなくても住宅ローン、教育資金の目途がつき、60歳までには老後の資金を貯めることが可能でした。 ところが、いまのような低金利時代では、以前と同じようにただお金を預けておくだけでは、老後資金を貯めることさえも難しくなっています。そのため、個人でもリスク商品を組み入れた資産運用が必要になったといえます。高いリターンを望める金融商品は、当然、リスクも高い商品ということになるので、これからの時代は、リスク軽減のための知識が必要になってきます。 ではどのような方法でリスクを軽減すればよいのでしょうかか。最も基本的でかつ重要なリスクの軽減方法は、「分散投資」と「長期保有」を行うことです。分散投資は、リスクのある金融商品を活用するとき、できるだけその金融商品のデメリットを埋め合わせる性格を持つ商品をバランスよく組み合わせることで、1つの金融商品に片寄ることなく、性格の違う金融商品を分けて持つということです。 この分散投資には、@投資対象の分散、A投資時期の分散という考えがあります。投資対象の分散の考え方は、同じ投資金額であればそれをひとつの金融商品に集中させるよりも、いくつかの金融商品に分散させたほうが、資金全体としての投資リスクを低く抑えることができるという考え方です。例えば株式投資をする場合、投資資金の全額を1つの銘柄に投資すると、資金の損益をその株価の上下だけに頼ることになり、下落したときの影響が大きくなります。 しかし、複数の銘柄をバランスよく組み合わせておけばその影響を少なく抑えることができます。この場合、ただ単に投資商品を分散させるだけではなく、異なる業種、性格が異なる銘柄に分散させることが重要なポイントです。 投資時期の分散の考え方は、投資資金を同じ時期に一度に投入しないで、何度かに分けて投資することでリスクを分散させるという考え方で、「ドルコスト平均法」という方法が最も効果的だといわれています。 これは、価格の動きや市場のタイミングに関係なく、定期的に一定金額で価格変動商品を購入していく方法です。これにより、価格が安いときは多く購入し、反対に価格が高いときは少なく購入することになります。価格に関係なく常に一定量を購入していくよりも、このドルコスト平均法を利用したほうが全体の平均購入単価を有利にすることができます。長期保有は、金融商品を長期間保有することで、安定した高い収入を上げることが可能になるということです。これは日々激しく動く金融市場ですが、長期で見ると金融市場の大きな波も平均化されるということからいわれています。 卵は1つのカゴに盛るな
。投資に関するイギリスのことわざです。これは1つのカゴにすべての卵を入れてしまうと、ちょっとしたことで卵が全部割れてしまうかもしれないので、いくつかのカゴに分けて卵を盛ることが危険を減らす賢い方法だという意味です。投資の場合も、いろいろな商品を買うことで危険を分散することが賢い方法だといえます。そのためには、個人で投資に関するすべての知識を得るのはたいへん困難なので、今後は専門家の力を借りることも必要となってくるでしょう。 |