『牛肉は安全』

BSE(狂牛病)、各地商工会で対応策


 BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)問題と関連し、各地の朝鮮商工会では朝鮮料理・焼肉業者の集いを開き、アンケート調査を実施するなどさまざまな対応策を講じている。

新潟

伊料理と同じ1品料理に着目/業者集い緊急情報交換会

 新潟県では県商工会主催による「狂牛病」に関する緊急情報交換会が10月23日、新潟市内の焼肉ヂャンで開かれ、朝鮮料理・焼肉業者12店舗14人らが参加した。この日の講師は茨城県下に3店舗を展開する汲ンらくてい代表取締役の金奉讃氏。商工連同胞飲食業者協議会副会長を勤めている。

 金氏はまず、今回のBSE騒動が日本政府の怠慢によって起きた風評被害である点を指摘。とは言え、何か事が起きるたびに回復と被害を繰り返すとの前提のもとに今後の対応策を立てるべきだと述べた。

 そして、この機会に店舗の内容を再検討し、仕入れの見直し、経費削減、メニューの開発を徹底的に行うべきだと指摘した。

 興味深かったのは、「焼肉屋は焼肉を売るものという固定観念を改めるべき」との発言。ニューカマーが経営する新しい形の朝鮮飲食店は、BSE騒動と関係なく繁盛している店が少なくないことを想起すべきだと語った。本来、朝鮮料理のメニューはイタリア料理と似ており、肉料理だけでなく、麺類、ご飯類、チヂミ、スープや煮物など豊富。だが、これまでは焼肉にばかり神経がいって、ほかのメニューにあまり神経を使ってこなかったのではないかと話す。「イタリア料理店で、パスタやピザだけを注文する場合もあるではないか」と、1品料理に着目するよう発想の転換を促した。

 参加者の間からは、「とても参考になった」「経営者の経験談として解説してくれるので分かりやすかった」「商売がたいへんな時こそ同胞が集まって意見交換をするのが大切」などの意見が出された。

 県商工会によると、今回のBSE騒動で同胞業者が深刻な資金難にあえいでいることから、この日の集いでは、新たな制度融資の情報提供もなされた。反響は大きく翌日から、この日の集いに参加できなかった経営者も含めて多くの相談が寄せられている。
【新潟県商工会】

静岡

キャンペーン実施へ/緊急対策委を発足

伊東・静岡県議会議長に要望書を手渡す安会長

 静岡県では10月25日に「静岡県同胞飲食業者のための緊急対策委員会」が発足。委員長に葛桴驩代表取締役の安海元氏(商工連同胞飲食業者協議会会長、静岡県同胞飲食業協議会会長)が就任した。

 対策委員会では、@県議会、市町村への要請A宣伝活動の強化とマスコミ対策B県商工会の情報提供と融資あっ旋C地域商工会主導による地域単位の各種キャンペーン展開――などの対策を講じていく。

 対策委では、安委員長ら代表4人が26日、伊東伊佐美県議会議長、石川嘉延県知事(秘書受付)、各会派代表(各担当者受付)に、@県知事はじめ県議会議員・行政機関等関係者による牛肉取扱業者への視察と安全のアピールAマスコミによる、消費者の不安をあおるような過度の情報提供、過激な映像放映の差し控え――などを盛り込んだ要望書を提出した。

 すでに、富士地域飲食業者(5日)、東部地域飲食業者(8日)が集いを開いており、22日には中部地域で飲食業者の集いが行われる。【静岡県商工会】

北海道

融資の上手な利用を/専門家呼び業者集会

 10月31日、北海道商工会、北海道同胞飲食業者協議会主催による「同胞朝鮮料理、焼肉業者集会」が開かれ、北海道保健福祉部食品衛生課安全推進係長の高橋守氏、札幌市経済局・経営金融課の井上達雄氏が講師として出演。BSEに関する正しい知識、制度融資の上手な利用法について述べた。

 高橋氏は、農林水産省と厚生労働省が協力して、今後は安全な牛からのものだけがと畜場から市場に出回り、それ以外のものは食用としても飼料原料としても一切出回ることのないシステムが確立された点について強調した。

 融資の上手な利用法について講演した井上氏は、@借り入れの理由を明確にA借り入れの手当ては早めに――など、融資を申し込む場合の心構えについて詳細に解説した。【北海道商工会】

兵庫

アンケート調査で実状把握/公的資金の活用呼びかけ

 兵庫県商工会では10月10〜20日に30件の同胞店舗を対象にアンケート調査を実施し、現状を把握した。それによると、BSE騒動以降、すべての店舗で前年同月比、前2〜3カ月比のいずれも客足、売り上げとも減少している。とくにファミリー客については全店舗が「減少」したと答えた。

 自店で取り組んでいる対策については、@鳥、豚肉をメニューに加えるA感謝セールと題してビール500円を300円にするなどメニュー価格を下げるB固定客にはがきを送付し、ビールサービス券を届けるC客に仕入れルートの明確な説明と肉に対するこだわりを主張し安心してもらう――などの回答が寄せられた。

 県商工会では、BSEという「大嵐」が過ぎ去るまでの間、経営を維持するためにも日本政府と県などが打ち出した公的融資制度を有効に活用することを、同胞業者に呼びかけている。【兵庫県商工会】

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