本社記者平壌レポート

21年間無事故のエキスパート

平壌産院運輸課


 平壌産院の運輸課は、1980年7月の開院と同時に創設されて以来、21年間無事故。救急車、トラックなど50台以上の車両をかかえる規模の集団では、全国的にも珍しいことだ。

 運輸課の役割は大きく2つに分けられる。ひとつは救急車で妊婦を病院に連れてくること、もうひとつはトラックでコメ、ワカメなど妊婦の食料を地方から運んでくることだ。会議に参加する医師を目的地に連れていくのも運輸課の仕事だ。

 運輸課はいつでも「出動」できるように24時間態勢を整えている。お産が近い妊婦がいるという連絡をうけると、全国どこへでも飛んでいく。1日の平均出動回数は20回程度だという。

 運輸課チェ・ゲユン副課長(50)は「21年の経験があるので、平壌市内はもちろん地方に行っても道に迷うことはない。真夜中に出動することがたびたびあるが、ベテランになるといくら暗くて狭い道でも間違えることなく目的地に到達することができる」と自負する。

 平壌産院では、妊婦のお産が近い場合は病院に連れてくるのではなく、その場で分娩するようにしている。だから救急車には常に医師と看護婦が乗っている。ときには運転手もお産を手伝っている。もちろん運転手はそれなりの経験と知識を持っている。

 21年間ここの運転手として働いているチョン・ギチョンさん(48)は、「今まで一番印象深かった出来事は、金正日総書記が両江道の3つ子とその母のためにヘリコプタ−を飛ばして産院に運ぶように配慮したこと」と話す。これは彼だけでなく、運輸課全員の共通する意見でもある。そのときヘリコプタ−が着陸した平壌空港から親子を乗せ、平壌産院に向かう救急車を、数多くの市民が沿道で出迎えたという。

 「一国の指導者がここまで関心を寄せる職場が平壌産院だ。創立30周年、40周年と輝かせていきたい」

 チェ副課長はみなの気持ちを代弁するかのように語った。【平壌発=李松鶴記者】

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