春・夏・秋・冬 |
戦後の日本の政治家が口にした暴言、妄言、失言の多さは世界でもまれだという。朝鮮植民地支配と関連しては「日本が帝国主義というなら、それは栄光の帝国主義である」(椎名元外相)、「ノリの養殖技術まで日本人が教えてやった」(田中元首相)という言葉を、筆者などは怒りと共にすぐに思い出してしまう
▼日本自衛隊のありようを根本的に転換させてしまった鈴木善幸元首相発言も忘れられない。レーガンとの首脳会談後の米紙とのインタビューで、自衛隊の行動範囲に中東地域も含まれると明言。自衛のための日本周辺海域に限るというそれまでの概念を捨て去って、本音を吐露したものだった ▼以来、日本の船舶が航行するシーレーン防衛が大手をふって論議されるようになった。先日、日本国会で成立した、自衛隊の海外派遣を柱にした「テロ対策特別措置法」の基礎になったといえる ▼暴言、妄言のたぐいは本来、政治家が備えるべき識見の欠如から来ると指摘される。しかし「靖国神社参拝」の違憲確認を求めて提訴した日本市民や南朝鮮の元軍人・軍属遺族に対する「おかしい人たちがいるもんだ。話にならんね」という小泉発言は、先のソウル訪問時に「反省」を表明した後のものだけに、それだけでは片付けられない ▼「反省」をしたのなら、それに基づいて真しに対応すべきだとは誰しもが思うところだが、やはり「反省」発言はその場しのぎのものであったのだろう。歴史はまた巡るではないが、「おかしな総理がいる」(鳩山民主党代表)程度では済まされない。(彦) |