靖国参拝は憲法違反

元軍人・軍属の遺族ら提訴


 小泉首相の靖国神社参拝は政教分離を定めた憲法に違反するなどとして、日本人戦没者遺族や南朝鮮に在住する元日本軍人・軍属の遺族ら約640人が1日、小泉首相、日本政府、靖国神社を相手取り、違憲確認や今後の参拝差し止めなどを求めて大阪地裁に提訴した。福岡、松山の両地裁でも同日、同様の訴訟が起こされた。また東京や千葉の各地裁にも来月、同様の提訴が行われる見通し。

 大阪訴訟の原告団は日本人戦没者遺族約40人、南朝鮮在住の元日本軍人・軍属の遺族約120人、遺族ではない日本人と在日同胞、在日中国人ら約480人。弁護団などとともに、「小泉首相靖国参拝違憲アジア訴訟団」を結成した。

 小泉首相は今年8月13日、靖国神社に参拝した。訴状によると、首相がその際「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳したことなどから原告側は「公式参拝」と判断。宗教法人である同神社への参拝は、憲法20条が禁止する国の宗教的活動にあたると主張している。また首相の参拝を積極的に受け入れた靖国神社も、「国からの特権を受けることを禁じた同条に違反した」とした。

 さらに、戦没者遺族は他人に干渉されず故人の死を静かにしのぶ権利(宗教的人格権)を侵害された、また朝鮮半島から徴用、徴兵された元日本軍人、軍属の遺族は、家族が侵略戦争に加担させられたうえに英霊として靖国神社に勝手に祀られ民族的人格を侵害されたなどと訴え、精神的苦痛に対する慰謝料として1人あたり1万円の損害賠償を求めている。

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