医協・全国アンケート調査結果

「同胞の生活から考える生活習慣病」


 近年、同胞社会においても、日本人同様に食生活の欧米化がみられ、生活習慣病は重要な医療課題となっている。在日本朝鮮人医学協会(医協)が、9月の1ヵ月間、北海道から九州まで全国各地の在日同胞を対象に「生活習慣病」に関するアンケート調査を行った結果(アンケート調査結果は別項)によると、82.9%が生活習慣病という言葉を耳にし、そのうち約7割がその内容に理解を示した。また、約58%の回答者が「生活習慣病予防のために何らかの心がけをしている」と答えるなど、生活習慣病がもたらす病気に危ぐを示した。アンケートは全22項目の設問で行われた。この結果と分析は、11日に横浜で行われる第24回医協学術報告会(健康・家庭欄に案内)で発表される。

 アンケートの回答者総数は1352人。全国を北海道・東北、関東・甲信越、東海・北陸、近畿、中国・四国、九州の6つのブロックに分け、総聯組織の各団体と医協を通じて行われた。

 まず、「生活習慣病という言葉を聞いたことがある」という回答は82.9%あったが、それを年代別の回答で見ると、10〜20代は77.3%、30〜40代は80・8%、50〜60代は89.4%、70歳以上は87%。また、「生活習慣病という病気を具体的にいくつ知っているか」という設問に関しても全体で69.5%が理解を示したが、10〜20代では57.2%、30〜40代では74.8%、50〜60代では79.1%、70歳以上では79.3%で、年齢的にも生活習慣病に「無縁な」若い世代にくらべ、年配層に関心があることがわかる。

 次に、「生活習慣病といわれ、現在治療中か」の問いには、全体で12.7%が「治療中」と答えたが、これを年代別の回答の割合で示すと、10〜20代は1.8%、30〜40代は10.4%、50〜60代は31.5%、70歳以上は30.4%と、やはり50歳以上で3人に1人が、生活習慣病との結果がでた。さらに、その病名については、どの世代も共通して、「糖尿病」と「高血圧」が群をぬき、30〜60歳までは肝障害が次点に上げられた。

 その反面、「地域で生活習慣病に関する指導を受けたか」の設問には、「はい」が全体的で17.3%と少なく、年代別の回答の割合でも、10〜20代は4%、30〜40代は22%、50〜60代は30・3%、70歳以上は17.4%と、病気の進行がないがしろにされていることが分かった。

 アンケートでは、回答者の生活様式に関する設問もあったが、特筆すべきは、「タバコ」に関して、全体で60.3%が「やめた」、もしくは「もともと吸わない」と主張し、どの世代も禁煙者が喫煙者を上回ったことだ。とくに、愛煙家のうち、30〜40代で20.1%、50〜60歳で40.1%がタバコを断った。「緑黄色野菜や果物」に関しても、「よく食べる」が67.4%と、バランスのよい食生活が心がけられていることもわかった。また、最近、テレビや雑誌などで美容と健康によいとされている、「朝鮮料理」に関しても、「食べる」、「時々食べる」が全体で実に、95.6%を占め、家庭で朝鮮料理が浸透していることがうかがえる。

 一方、生活習慣病の主要因とされる「運動」に関しては、全体で44.2%が「しない」と答え、年代別回答を見ても、10〜20代は36.9%、30〜40代は54.1%、50〜60代は41.8%、70歳以上は21.7%と70歳以下の同胞たちの運動不足が目立った。また、「ストレス」についても、「常に感じている」が、年代別回答で、10〜20代が22.1%、30〜40代が29.1%、50〜60代が26.7%、70歳以上が26.1%の数字を占めるなど、現在の不況社会に対する不満や、日頃の生活や仕事への不安を表わす結果となった。

 最後に、「生活習慣病にならないために、特に心がけていること」との設問に関しては、62.1%が「心がけている」と答え、その内容については、どの年代でも共通して「適正な食事」と「運動」、「ストレス解消」が上位を占めた。また、「生活習慣病に関して同胞団体に望むこと」については、全世代で「健康診断の相談」に関心が高く、40歳までが「学校保健の充実」、50歳以上では「予防についての講演会・広報活動」、「スポーツの集いや行事」に関心が高かった。

 今回のアンケート調査結果は、同胞の生活と権利のみならず、健康促進と医療の観点から、彼らの毎日の暮らしと健康を守っていくうえで貴重な参考となった。(千貴裕記者)

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