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現在、世界のユダヤ人口は1300万人。その内イスラエルには34%が暮らす。それより多いのが米大陸の50%だ。中でもナチス迫害を避け大勢が亡命したことから、米国には最も多くのユダヤ人が住み、金融界を支配。政界に影響力を行使してきた。そのような関係から、第2次世界大戦後のイスラエル建国に米国は深く関わった。トルーマン大統領(当時)は建国提案を吟味しないまま、その日のうちに承認した
▼その両国の間に最近、不協和音が起きている。ヨルダン川西岸ベツレヘムとベイドジャラのパレスチナ自治区からのイスラエル軍撤退をめぐって、即時撤退を求める米側と、拒否するイスラエルとの間で対立が深刻化。結局、撤退は実行されたが、いつ白紙に戻されるか予断を許さない ▼シャロン現首相は、住宅相時代に挑発的な入植政策を何度も掲げた人物で、右派リクード党党首。3月の首相就任以来、パレスチナ自治区への侵攻を繰り返し、8月のPFLP議長暗殺の背景にも彼の影がちらついている ▼この動きに、米政権内部でもイスラエル擁護派と反対派に意見が分かれたが、徐々に反イスラエル色が強まっていた。しかし、9月11日の同時多発テロによって状況は変化し、「米政府が少し反イスラエルに傾くと、奇遇にも大事件が起きて、米国は再びイスラエル側に引き戻された」(田中宇著「タリバン」) ▼とは言え、撤退をめぐって再燃した対立関係。アフガン攻撃を正当化するため、アラブ諸国の協力が必要な米国にとって、イスラエルの行動は頭の痛いところだろう。(聖) |