春・夏・秋・冬

 朝日新聞社の発行する週間新聞が、アフガンへの報復開始後、ロサンゼルスで「アメリカに足りないもの」というアンケートを実施したところ、最も多かった答えが「PEACE(ピース=平和)」だったという。同時多発テロの現場となったニューヨークやワシントンとは多少の温度差はあるかもしれないが、米国民が報復戦争に拒否感を示していることがわかる。米政府が「正義VS悪の戦い」を強調しても、民衆はそれほど愚かではないということだろう

▼毎日のように伝えられる空爆、地上戦のニュースに接しながら、平和について改めて考える。平和とは戦いや争いがなくおだやかな状態を言う。平の字には「おだやか、やすらか、和合する、正しい」などの意味が、そして和の字には「調和する、溶け合う、なごやか、おだやか」などの意味が含まれている

▼作家の辺見庸氏は、米英軍によるアフガン軍事攻撃は「国家テロ」であると指摘する(東京新聞18日付)。それによって、子どもや女性ら、何の罪もない人びとが毎日のように殺りくされている

▼近・現代の戦争を題材にした代表的な作品に、レマルクの「西部戦線異常なし」がある。第1次世界大戦中、ドイツ軍と連合軍とが対峙したフランス東北国境の戦場が西部戦線。戦闘で1人の兵士が死んでも、その日の報告は「異常なし」という、戦争の非情さを訴えた小説だ。戦争からは何も生まれない

▼平和の平の字には「等しい」という意味もあるという。アフガンの一般の人にも等しく平和を享受すべき権利がある。(聖)

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