アリランが結ぶ南北の絆
盧相鉉・姜春東共演平和コンサート
11月12日東京池袋・芸術劇場
東京・池袋の東京芸術劇場大ホールで、11月12日、日本で活躍中の南朝鮮指揮者・姜春東さんと朝鮮大学校教授でピアニストの盧相鉉さんによる平和コンサートが開かれる。「アリラン」が結ぶ南北の絆(きずな)――と題されたコンサートでは、東京フィルハーモニー交響楽団による管弦楽「アリラン」とピアノ協奏曲「祖国はひとつ」をはじめ、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」(1楽章)、交響曲第7番などが演奏される。 今回初の共演となる2人の出会いは昨年7月、統一と和解の雰囲気が盛り上がる中でのことだった。共に統一を願う朝鮮の音楽家として、日本でも民族の統一を成し遂げようと手を取り合い、民族の象徴ともいえる「アリラン」(ピアノ曲)の合作に取り組んだ。 互いの音楽性やスタイルなどの違いを認め合いながら進められた作業は、まさに分断を乗り越えて統一へ向かう民族の姿そのものでもあった。北の音楽には、民族音楽をもとにアレンジして創作された作品が多く「音楽といえば西洋音楽」と思っていた姜さんにとって、それはとても興味深いものだった。92年6月、朝鮮国立交響楽団の来日公演の際に初めて北の音楽に触れ、「アリラン」、「祖国はひとつ」、「ピパダ」などの演奏から受けた衝撃を彼は今も忘れられないと言う。 2人の出会いから1年が経ち、コンサートの共演が決まった。「一切の政治的概念を離れて、立場の違う者どうしが手を取り合えたのも6.15共同宣言のおかげ」と盧さん。「この共演を、周りにいる日本の友人たちが、心から祝福してくれた」と姜さんは話す。2人の言葉には、北と南、日本が「平和」という名のもとに音楽を奏でる意義が込められている。 かつて南の人々は、北はもとより総聯関係者と接触することすら困難だった時代があった。6.15以降、状況は着実に変わりつつある。総聯同胞故郷訪問団の南朝鮮入りも実現し、お互いの交流は各分野にわたって進んでいる。今回の共演もその1つである。 コンサートでは、昨年夏、初のソウル公演を行った朝鮮国立交響楽団が演奏した曲、「アリラン」も演奏される。そこには祖国の平和統一に対する願いと世界の平和に寄せる2人の熱い思いが込められている。 芸術の秋、足を運んでみてはいかがだろう。(金潤順記者) ◇ ◇ ※11月12日(月)午後7時開演。東京芸術劇場大ホール(池袋西口)。入場料:S席7000円、A席6000円、B席5000円、C席3000円。主催:平和コンサート実行委員会。共催:山崎音楽事務所。お問い合わせ:山崎音楽事務所TEL 03・3564・6221、チケット取扱い:山崎音楽事務所、チケットぴあTEL 03・5237・9990。 |