コリアンとして生きる(2)
誇りを持つ事の意味知る/留学同支部再建に奮闘
北海道医療大学薬学部2年 朴紘慶
大学から本名の「パク・ヒョンギョン」を名のっているが、高校までは日本語式に「ボク・ヒロノリ(朴紘慶)」と発音していた。だからといって、朝鮮人であることを隠していたわけではない。親は「朝鮮人として誇りを持って生きてほしい」とつねづね語っていたし、姉妹が朝鮮学校に通っていたことから、自分のルーツについては認識していた。しかし、心の奥底では「できればそれについては触れてほしくない」と思っていた。 というのも、日本の友人に在日朝鮮人のルーツについて説明しても知らない人が多く、私自身についても理解してもらえなかったからだ。なかには、戦争が起きたらどっちの見方をするのか、などと過激な質問をぶつけてくる人もいた。 しかし、その考えが甘いということを、本名を名のるようになってから悟りはじめた。本名を名のろうと思ったのは、「朝鮮人として誇りを持って生きてほしい」と言う親の言葉の意味を自分自身で見つけるためだった。 ◇ ◇ 答えは、以外とすんなり見つかったような気がする。昨年の夏、各地の日本の大学、専門学校に通う同胞学生たちの全国規模のイベント、サマーセミナー「マダン(場)」に参加し、同じ境遇のトンムたちと論議する過程で、自分なりの答えを探すことができた。それまでは、私たち在日3世が「日本の侵略戦争によって朝鮮から強制的に連れてこられた子孫」であり、日本社会の差別の中で、それを我慢して生きていかなければならないと思っていた。 しかし、差別に悩むのではなく、前向きに考えようとするトンムたちと触れ合うことで、自分はこれからどのように生きていかなければならないかということを考えさせられた。言葉など民族の文化に直に触れることで、その重要性や文化に触れる楽しさも感じることができた。人生が180度転換したような思いだった。 ◇ ◇ そして、ある決心をした。そんなトンムたちが集まり、語り合える場である留学同組織が北海道にはなかったため、自分が旗揚げしようと思ったのだ。1970年代には北海道にも留学同があったそうだが、その後活動は停止状態にあったという。約1年の時間をかけ、今年6月にようやく、メンバー20人で留学同北海道支部を立ち上げ、再スタートさせることができた。対象者はもっと多い。これから徐々にメンバーを増やしていくつもりだ。 本名宣言後、私の生き方は大きく変わったと思う。「パク・ヒョンギョン」という本名を名のり続けることで、常に「朝鮮人である」ということに刺激を感じながら、民族性を守っていきたい。 |