それぞれの四季
運動会で見た「成長」
金癸任
つい先日、数年ぶりに母校の運動会を見に行って来た。優しい急斜の坂を登れば、中1から高3まで7人の姪や甥の通う愛知朝鮮中高級学校がある。高校最後の運動会となる姪の応援団の姿を2歳の娘たちと見るのが一番の目的だった。大勢で囲んだにぎやかな昼食が終わる頃、姪が「スンモ、誰かわかる?」と1人の男子生徒を連れて来た。一瞬の内に10数年前にタイムスリップして、目前の青年が幼稚園児だった頃の愛くるしい顔と二重写しになった。あまりの驚きと嬉しさで何度も顔もなでてしまい、逞しく成長した高3の青年には迷惑だったろうが、彼は終始、昔と変わらぬ笑顔を見せてくれた。最後に担任した園児たちがいたのだと気づき、進む競技を目で追いかけたが成長ぶりが著しくてわからない。
すると「ソンセンニム!」と、声がするので顔を上げると、懐かしい父母の姿があった。「今年でとうとう最後の運動会になりました。本当に色々とコマプスムニダ」…。 どうして私にお礼なんか…と驚き返す言葉もなかった。あの頃、教員として未熟だった自分を反省しながら、クライマックスの農楽舞の衣装を身につけ弾けんばかりの笑顔の青年たちを見つめた。応援団として空手を演じる姪の姿もある。「今時の朝高生」と聞くけれど、目には見えない民族教育の内面をしっかり育んでいるのだ。 帰途、あのアボジの言葉を思い出し、思った。お礼を言うのは私の方だったと。子供たちを立派なチョソン青年に育てて下さったこと。そして誰1人力の抜く事のない素晴らしい運動会を見せてくれた生徒達にも。本当にコマプスムニダ!(主婦) |