本社記者平壌レポート
みんなに愛される理髪師一家
世帯主は国家公務員から転職
平壌市万景台区域には数多い理髪店がある。その中でも金星洞の金星理髪店は、うわさの店だ。
ここでは一家4人みなが理髪師として働いている。チョン・ヒョンドゥさん(55)一家。 家族全員が平壌市高級技能工学校で同期生として理髪技術を習得し、95年から勤務。 チョンさんは、軍隊を除隊した後、長い間国家中央機関に勤務していた。彼が50代を目前にして理髪師になったのには、わけがある。 68年11月1日金日成主席が、チョン・ヒョンドゥさんの家を訪ねた。彼の父と父の兄は理髪師であった。 「主席は、家族に2人も理髪師がいたら理髪家族だとおっしゃったそうです。94年7月主席がお亡くなりになった時、自分は今まで何をやってきたのかと振り返り、今からでもやるべきことをやろうと考えました。そして父の代を継ぎ、理髪師になることを思いついたのです。」 それからチョン・ヒョンドゥさんと妻、娘、息子の家族全員が、平壌市高級技能工学校に同時入学した。学校には優秀な教員が多く、指導もその分厳しかった。50代を目前にしたチョン・ヒョンドゥさんにしてみれば、技術の習得は簡単ではなかった。誰よりも努力の汗を流したという。 「学校での技術習得はたいへんでした。理髪店で働き始めてからも、座って事務仕事をしていた時と違い、ずっと立って仕事をするので疲れます。でも軍隊で鍛えた精神力で、克服することができました。」 すっかりベテランになったチョンさんは今、理髪師とは単に髪の毛を切るのではなく、客の情緒生活をも豊かにしてあげられる仕事だと話す。そして「わが国では理髪師も芸術家に属する」と自負していた。 金星理髪店を訪れる客は、チョン・ヒョンドゥさん家族全員が手際よく、速くて、サービスも満点と評価している。それでここを定期的に訪れる常連客が多い。店はいつも楽しい会話があふれている。 家族全員が理髪師のチョン・ヒョンドゥさん一家。父と母の髪はいつも娘が切ってあげて、娘の髪は母が切るという。【平壌発=李松鶴記者】 |