人・サラム・HUMAN

「毎日あきれることばかり」

84歳の誕生日に出版・三木睦子さん


 三木睦子さんは今年84歳。誕生日にあわせて出版された本が「毎日あきれることばかり」(アートン刊行)である。南北統一を支援する「アジアの平和と女性の役割」呼びかけ人のほか、国連婦人会会長、アジア婦人友好会会長などの重責を担い、日々多忙。

 「怒りだすと私はキリがなくて、親せきのものが私を『大久保彦子』さんと呼ぶのですが…」と笑う。世間のさまざまな矛盾に関心を持ち、ピシャリと叱る。

 「もう年なんだから、仲良しこよしルンルン、みたいなところだけ出るようにして。柳眉を逆立てて『けしからん!』とか、ギーギー言うような場所に行くのはやめてほしいんだけど…」と家族も願っているが――。孫からは「いいかげん猫でも膝に抱いて、日向ぼっこでもしてほしい。その年になったら、おとなしい、いいおばあちゃんを演ずるように」とのお達し。ところが、実際は誰も三木さんを「ピクニックにいきましょう」などとは誘ってはくれないのだ。それどころか「従軍慰安婦」や戦後補償、朝鮮の統一問題、日朝国交正常化問題――など、普通の日本人ならば、おそらく尻込みしそうな難しい問題にばかり関わり、「吼えてしまう」(ご本人)のである。

 熱い心と生まれついての反骨精神。小気味良さ、潔さが本書の特徴。何しろ「カッカと腹を立て、怒り雑言、がなり立てることを、生きがいにしているところさえある。もし私から怒りをとってしまったら、生きる張り合いを失い、翌日にも死んでしまうかもしれない」のだから。

 主席が亡くなる直前に会った。「南北の和平は建国以来の念願です。だから手伝ってくださってほんとうに嬉しい。ありがとう」との主席の言葉が耳を離れない。それを心に刻んで行動する姿に胸打たれる。

洪昌守と共に勝利喜ぶ

「笑うボクサー」の担当編集者・鄭在允さん

 3度目の防衛戦を制した王者・洪昌守と共に二人三脚で作ったのが、話題の本「笑うボクサー」(アミューズブックス)。担当編集者として心血を注いだだけに、今回の勝利は格別。

 「試合の後、昌守さんからメールをもらった。『ホンマ、ダメかと何度も思ったが、みんなの大声援で勝てた』とありました」

 出版関係の仕事をしたい、と小さい時から思っていた。中級部まではウリハッキョで過ごし、高校から日本の学校へ。大学卒業時に今の会社の就職試験を受けた。「最終試験は受験者12人と一緒の面接。そこで当時、大きな話題となっていた『従軍慰安婦』問題について聞かれた。他の人たちは『分からない』と言うだけ。『その開き直った態度に猛烈に腹が立つ』と答えたらその日に採用が決まりました」。

 そんな会社で生き生きと本作りに励む。洪昌守の本は20冊目。会心作だ。

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