閑話休題

伝えたい 女性の輝き

同性の視点


 ハルモニを身近に感じながら暮らすわが娘は、どんな年寄りを見ても 「あぁ、素敵!  かわいい」を連発する。きっと幼児期にハルモニにたっぷり愛情を注がれた体験が、そうさせるのかも知れない。

 人は老いていくもの。その様子を肯定的に受け入れるには、年寄りのいる風景は大切であろう。

 ずっと「女性欄」でハルモニの個人史の聞き書きをしている。60代から100歳近いハルモニまで、幅広い女性たちの半生は、実に波乱万丈である。

 話を聞いていて、一緒に涙ぐみ、共に憤激している自分がいる。人間らしく生きようと、時代や家制度のさまざまな制約を乗り越えて、生涯自分の道を探し続ける姿に感嘆する。

 日本の女性と出奔した夫に対しても泣き寝入りせず、果敢に闘い女性としての尊厳を取り戻した、たあるハルモニ。文字を知らないと蔑む夫を見返すために文字を習い、ついには商売のパートナーとしての自分の地位を確立した1世の女性。

 朝鮮女性の女性解放の道は、日本の植民地支配と闘いながらの苦難がともなった。その二重、三重の差別構造と闘い続けた粘り強さこそ、現代に生きる私たちが受け継ぐべきものだと思う。

 人は誰でも他人が踏み込んではいけない「記憶の古井戸」を持つ。触れて欲しくない過去もあろう。それを語ってもらう辛さ。でも、こちらの共感する気持ちが相手側に伝わった時に、パッと局面が変わる。そんな時に記者としての密かな喜びを感ずる。

 女たちの生の輝きを、同性の視点でできるだけ多く書いて、広く伝えたい。(粉)

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