グローバル新風

米景気の行方と影響


 2001年の世界経済にとって最大の関心は米国の景気動向だ。

 九〇年代を通じて史上空前の好景気を実現し、世界中のヒト、モノ、カネを惹きつけた米国も、昨年後半からのIT株の下落や個人消費および設備投資の鈍化を経て景気の調整期に入った。

 そこで注視されるのはその調整の行方だ。

 成長スピードが落ちる程度の「穏やかな調整」であれば良いのだが、景気そのものが後退する「穏やかでない調整」になれば、世界経済にとってはやっかいな事になる。

 例えば米国への輸出依存度が高いアジアや中南米の国々にとって、お得意様の米国が財布のヒモを固くすればするほど収入は減る事になり、その分成長率は落ち、国内の景気は悪くなる。実際、これら地域の株価や通貨は、米株価の下落と見事に連鎖しており、国際経済の構図をわかりやすく写していた。

 もしも米経済が日本のバブル崩壊後と同じような道をたどれば、その規模の大きさから、ユーロ圏など他の地域も巻き込みかねず、ひいては世界同時不況という展開に至る恐れがある。

 そんな中、米国経済の舵取り役と言われるFRB(米連邦準備制度理事会)は年明け早々、電撃的な金利引き下げを行い、景気軟着陸への強い意志を内外に示した。

 それが効を奏したのか、年初の利下げ以後、米株価は底を打ったかのような気配だ。

 どうやら最悪のシナリオは免れたのだろうか?

 グローバリゼーションの進展は世界経済の連鎖を強める。その中で当面も主軸であろう米経済の動向には常に目が離せない。(李達英=朝・日輸出入商社)

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