地名考/故郷の自然と伝統文化

ソウル−D公演と市場

今も抵抗の歴史を伝える

司空 俊


ソウル鍾路通 (1910年)


 鍾路3街に沿って位置するパゴダ公園は朝鮮最古の公園といわれ、13層の舎利塔(塔身10層基壇三層。パゴダ=塔という意味)があったことから名付けられた。1919年3月1日、「朝鮮独立宣言文」が読み上げられた所だ。最近は老人やいろんな人々が時間を過ごす場となっている。

 なお、10層の舎利塔の上部3段は壬辰倭乱の時、小西行長が土産に日本に持ち帰ろうとしたものだが、日本侵略軍の撤退が至急で、果たせなかったと伝えられている。

 ソウルの代表的な市場には南大門、東大門、中部がある。主な商店街は鍾路街、南大門街、清渓川街、乙支路、忠武路である。

 サービス業における就労人口の大半が従事する東大門市場は、南大門市場とともに二大市場といわれている。1905年の開設当時は小規模であったが、現在は1000万を越える市民の生活を支える大市場となった。鍾路4〜5街だけでなく、清渓川を越えて平和市場、芳山市場、中部市場をも含んでいる。商人だけでも四万を下らないという。商売は卸売りから小売中心になったが、織物を中心に、衣裳、婚礼用各種生地、食料品、諸雑貨や商いの情報に引かれて、日に10万単位の人々が訪れているという。

 ソウルの繁華街は明洞かいわいで、歌謡にも「…遊ぶなら明洞に…」とあるほど、様々な店が集中している。

 北漢山(三角山)には山城がある。人々を驚かすのは、花崗岩の巨石が海抜300メートルほどの地点に積み上げられていることだ。世宗王は土城を壊して石城に再築した。

 ソウルは、市街地のどこから見ても山が迫っている。北漢山山頂には半日コースで、白雲台(836メートル)、万景台(800メートル)、仁寿峰(803メートル)に行ける。この3つの山が3角形に並んでいるので3角山という呼称が生まれた。

 冠岳山(829メートル)は漢江左岸の鎮山で安養駅から7キロで頂上に登れるが急登であり、南の丘陵地帯にソウル大学校がある。

 南山公園の眼下からはソウル市全景が眺めることができる。森の間に千古の古跡が点在し、老松鬱蒼、風景絶佳で市民の散策場である。この山の中腹の広場には南山公園がある。野外音楽室、噴水、植物園、子供会館、図書館などがあり、安重根義士記念館、素月詩碑があり、金九を記念する白凡広場がある。

 南山の東山麓には、樹木が茂り、小川が流れ、静寂な奨忠壇公園がある。四溟大師と日本の侵略軍に身をもってたたかった朝鮮のジャンヌダルクといわれる柳寛順の銅像がある。

 南山の南山麓傾斜地にはかつて雲種寺という尼寺があった。壬辰倭乱の時、倭兵が淫蕩を極めた所として、その悪行が今もソウル市民に語り伝えられている所である。歴史には「忘却」という言葉はない。(サゴン・ジュン、朝鮮大学校教員)

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