関東大震災時の朝鮮人虐殺/人権救済申立

日弁連件委が聞き取り調査


「虐待の真相を明らかにして欲しい」
と語る李代表(16日、日弁連会館)


真相究明が真の友好に

在日同胞らが意見開陳

 関東大震災(1923年9月1日)時の朝鮮人虐殺を目撃した横浜市在住の文戊仙さん(92)さんが99年11月、日本政府による事件の真相究明と謝罪を求め、日本弁護士連合会(日弁連)に対して人権救済申立を行ったことと関連し、日弁連は昨年11月に事件委員会(梓澤和幸委員長)を設置、その活動の一環として、16日に関係者に対する聞き取り調査を行った。

 東京・霞ヶ関の日弁連会館で行われた調査には、「関東大震災虐殺朝鮮同胞を追悼する会」代表の李炳河・総聯千葉・西部支部委員長、文さんの申立代理人の洪祥進・朝鮮人強制連行真相調査団事務局長、歴史家の山田昭次氏が参加し、それぞれ意見を述べた。(発言要旨は別項)

 代表らは、虐殺に関わった日本政府の責任を明らかにし、その教訓を見いださない限り、真の朝・日友好関係は築けない、と訴えた。申立をした文さんは、風邪のため、この日の調査には参加できなかったが、事件委員会は、文さんの健康が回復し次第、証言を聴取する予定だ。

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 李炳河・「関東大震災虐殺朝鮮同胞を追悼する会」代表 虐殺の真相を究明できなかったことが、在日朝鮮人に対する根強い差別を残した。同胞の生活を脅かす被害は後を絶たない。

 千葉の総聯活動家が虐殺された千葉朝鮮会館放火虐殺事件(1998年10月)をはじめ、千葉朝鮮初中級学校付近の壁に差別的な落書きがされたり、学校のガラスが何者かによって割られた。また、昨年、石原慎太郎・東京都知事が「外国人が凶悪な犯罪を繰り返している」と発言し、朝鮮人に対する差別、偏見をあおったことにも強い危機感を覚える。

 真相を究明し、虐殺事件の教訓を引き出さない限り、真の朝・日友好ははかれない。日本政府の責任が明らかにされることを強く望む。

 千葉の馬込霊園にある追悼碑の下には百の無縁仏が眠る。日本政府の責任が明らかになった暁には、遺骨を祖国に持っていき、被害者の無念を晴らしたい。

 洪祥進・朝鮮人強制連行真相調査団事務局長 法的な問題について述べたい。日本政府には、虐殺した犯人を処罰しなかった国家責任がある。

 朝鮮人虐殺の直接の原因になったのは、流言飛語、官憲によるデマであった。日本政府は官憲の関与を明らかにし、処罰する義務があったにも関わらず、このことを怠った。

 法的責任が生じることは、以前に起きた事件の国際判例や関連条約に照らしても明らかだ。例えば、メキシコ人が米国人を殺害した「ジェーンズ事件」(1918年)に対して国際司法裁判所は、犯人の不逮捕、不処罰に対するメキシコ当局の国家責任を認め、損害賠償を命じた(26年)。

 当時、朝鮮は日本の植民地と言われているが、植民地支配は不法に行われた。日本政府は、「朝鮮の植民地支配が合法」との立場で一貫しているが、この主張の根底には「朝鮮人に対しては何をやってもいい」という差別、蔑視が横たわっている、調査では、植民地支配の不法性も問われるだろう。

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