「アジアINコミック展−私たちはどこへ行くのか?」 

戦争、人間性、正義など

11人の個性あふれる作品110点展示

2月10日まで


南の小説家・黄晢暎さんの作品「張吉山」の劇画本


 南朝鮮、中国、香港、日本の新進気鋭の漫画家たちによる作品展「アジア コミック展ー私たちはどこへ行くのか?」が13日から(〜2月10日)、赤坂にある国際交流基金フォーラムで開かれている。

 国際交流基金アジアセンター主催による初のコミック展では、個性あふれる東アジアの代表的な11人の漫画家の作品110点と、漫画事情全般を理解するための資料も展示されている。

 近年、南朝鮮、中国、香港では若者を中心としてコミックが盛んに愛読されている。とりわけ南朝鮮では90年代以降、専門学校単位で漫画創作と関連した専攻学科が開設され、新しい 文化学問 として脚光を浴び始めている。そして、インターネットの普及とともに漫画を使った企業のサイトがブームとなっている。

 中国では、外国の漫画が国内で氾濫している状況を憂い、国家政策として95年頃から自国の漫画に力を入れ出したことにより、コミックが若者の間で急激に愛読されるようになってきている。香港もインターネットの普及に合わせ、漫画情報の発信やデータの収集に力を入れている。

 そうした同じアジアに住む現代人にとって、まさに互いの国の社会や生活を理解する上で格好の媒体であるコミックを集めて開催されたのが今回のコミック展である。

 21世紀を迎えて、「私たちはどこへ行くのか?」というテーマにふさわしい力作が展示されていた。

 中国の趙佳(チャオ・ジア)さんの代表作「黒い血」は、黒色の血液をもつ神秘な少女の物語を通じて、戦争、人間性、正義、愛情を描いている。

 南朝鮮の若手女性漫画家・李彬さんの「こんにちは?!ジャトゥ!!」は、自身の子供時代の懐かしい思い出を通して、現在だんだんと壊されソウルから姿を消しつつある裏町への追憶を込めた作品である。

 南の梁榮淳さんの作品は今回のテーマに最も合致した作品として、他の作家および関係者たちから高い評価を受けている。一見単調そうに見えても、そこには人間性の破壊が込められていた。

 「厳しい生活を強いられた人間の極限を示したかった。21世紀は人間を人間たらしめる、人間の復権を求めていく時代にしなければならないだろう」と指摘する。

 初日に開かれた漫画家たちによるパネルディスカッションでは、個と個の言語の壁を乗り越え、日頃から考えていることを漫画を通してつかみ、新しい視野でそれぞれの漫画を切り開いていこうと語り合っていた。

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 開館時間=午前11時〜午後7時(日曜休館)、入場料=一般300円、大学・高校生200円、中学生以下無料。

 場所=国際交流基金フォーラム(赤坂ツインタワー1F)。最寄り駅=営団地下鉄銀座線/南北線「溜池山王駅」から徒歩5分。

 問い合わせ=(国際交流基金アジアセンターTEL 03・5562・3892)

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