在日朝鮮人の歴史Q&A
なぜ強制追放されたの?
一方的に不法入国者に/「外登法」で取り締まり強化
Q 解放後、多くの在日同胞が強制追放されたと聞きますが?
A 解放直後、帰国した同胞のなかで、祖国の政情不安や生活の困窮から、日本へUターンしてくる者が現れました。 占領軍はこのような人たちを一方的に「不法入国者」とみなし、南朝鮮へ強制追放したのです。強制追放の発端となったのは、1946年6月12日に出された「日本への不法入国の抑制に関する覚書」です。覚書を受けた日本政府はこの年の11月までに、1万4000人もの同胞を本国へ強制追放しました。 翌年に入ると「外国人登録令」(5月2日公布施行)をもって在日朝鮮人を取り締まり、退去強制を強化していきます。登録令では強制退去の対象を占領軍の許可なく入国した者に加え、登録手続に違反して司法処分を受けた者としたのです。その結果、登録令制定後の5年間に、登録手続上の過失などで2万3100人にものぼる同胞が逮捕され、その多くが強制退去処分を受けています。 一方、占領軍は作戦指令第78号を発令(同年12月20日)し、軍事裁判を受けた在日同胞の強制追放を実施するための措置を決定します。これによって4・24教育闘争や国旗掲揚闘争に関わった愛国的活動家たちが軍事裁判のすえ、南朝鮮へ強制追放されました。 朝鮮戦争が始まり南朝鮮からの避難民が日本へ流入すると、「不法入国者」の取り締まりと強制追放の強化のため、「出入国管理庁」と「入国者収容所」が設置(次号で詳述)されます。 さらに51年10月4日、「出入国管理令」が発布され、強制退去の事由の範囲が拡大されます。外国人登録令にあった不法入国者と登録手続違反者のほかに、「治安撹乱者」、日本の負担になる者(貧困者等)が追加されたのです。 こうして完備された強制追放体制のもと、在日同胞はつねに強制追放の危険にさらされ人権と生活を脅かされてきたのです。(金大遠、研究家) |