新年祝い21世紀の初登山

西東京、東京の同胞ら

「健康維持に最適」元気な高齢者中心


 21世紀を山で祝おう――そんな元気な同胞たちが3日、高尾山(東京・八王子市)に集まった。10年目を迎える恒例の集いだが、今世紀最初とあってか、登山者の表情にもどことなく新鮮さが感じられた。西東京や東京など各地域から参加した約80人の同胞たちは、思い思いのコースをたどり山頂に到着。心地よい汗を流した仲間同士、ビールで乾杯し、親睦を深め合っていた。

 この日の参加者は高齢者が中心だ。「平均年齢は60歳ぐらい」(在日本朝鮮人登山協会の金英会長)というからすごい。70、80代の人も少なくない。まさにシルバーパワー爆発といった感である。

 その1人で、楽々と上り下りしていたのは82歳の李在雨さん。「登山は全身を使うから健康維持に最適。食欲も出るしよく眠れる。週に1度の割合で登っている」。日頃の鍛錬が実ってか、元気な体で昨年、総聯故郷訪問団の一員として南にも行ってきた。

 「毎日バスに乗らず、自転車を使っているから足腰には自信がある。酒とたばこをやらないのも健康を維持する秘訣だね」と話すのは80歳の李昌雨さん。トレーニング姿でさっそうと歩いていった。

 李容極さん(75)は、年に1、2回は3000メートル級の山にも登る。もちろん、毎日4キロのウォーキングなどで足腰を鍛えている。

 「登山は持久力を養ってくれるので、自然に忍耐力が身につく」と話す。

 この日、集まった面々は頂上でいくつかのグループに分かれ、持ち寄ったお弁当を肴にビールで乾杯。下山後は駅近くの料理屋で新年会が行われ、「今年はどの山に登ろうか」などと年間の計画話に花が咲いた。

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 取材メモ 高尾山は標高600メートルほどの低山だが、温帯林と暖帯林が混生した珍しい植物群生を見ることができる。東海自然歩道の起点でもある。

 記者は金英会長らとともに稲荷山コースを登った。細道を少し登ると、お稲荷さんを安置した祠(ほこら)がある広場に出ることから、この名が付けられたそうだ。山頂までは約1時間半。登山慣れしていない者にとっては、所々に急坂があり結構きつい。この日は寒かったが、途中で汗が出てきた。四十分ほどであずま屋のある展望台に至る。新宿の高層ビル群が一望できた。遠く筑波山までも見えるという。

 ここから山頂付近までは起伏も緩やかで登りやすい。空気も澄んでいて、歩いていて気持ちがいい。

 しかし、最後がきつかった。「心臓破り」と言われる230余段の階段だ。

 (2度と山なんか行くもんか)と思ったが、頂上に着いた途端、あまりのすがすがしさにそんなことなど忘れてしまった。心地よい汗をかいた後のビールは最高だった。(文聖姫記者)

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