第1回総聯同胞故郷訪問団

「オッパ」「ヒョンニム

60年ぶりの再会、歳月埋める熱い抱擁


空港に出迎えに来た息子さんと再会する

神奈川県商工会顧問の「道元さん(79)


 【ソウル発=元英哲、文光善記者】第1次総聯同胞故郷訪問団(メンバー50人、随行員・取材記者13人、団長=朴在魯・総聯中央副議長兼朝鮮新報社会長)が22日正午、ソウル入りした。金浦空港ロビーでは受け入れ窓口である大韓赤十字社の関係者と、訪問団メンバーの家族・親戚、一般市民らが一行を温かく出迎えた。歓迎行事が行われ、大韓赤十字社側から朴団長に花束が贈られた。一行は同日午後、宿泊先のソウル市内のホテルで家族・親戚と面会し、夕方には大韓赤十字社主催の歓迎晩さん会に参加した。23〜25日はそれぞれの故郷などを訪問し、27日にソウルを発つ。

 祖国が解放され、55年。22日、第1次総聯同胞故郷訪問団がついに故郷の地に降り立ち、夢にまで見た肉親と対面した。

 この日、訪問団が到着した金浦空港には、宿舎での面会を待ち切れずに出迎えに赴いた百余人の家族たちが、訪問団一行と感激の対面を果たした。

 63年前に故郷を離れたあと、肉親との対面はもちろん、手紙や電話のやり取りも一切しなかった鄭和欽さん(77、文芸同中央顧問)は、空港で6つ下の弟、ヨフムさん(71)と再会した。

 70を超えた兄弟は、お互いの顔を確認するかのようにしばしまごつくや、「ヒョンニム!」「ヨフマ!」と名前を呼び合い抱き合った。

 63年間の歳月を取り戻すかのような長く、固い抱擁だった。赤十字関係者が「またすぐに会えますよ」と言葉をかけたが、かみあった手は離れることがなかった。

 神奈川県商工会顧問の「道元さん(79)は、空港で息子のテボンさん(56)と対面した。テボンさんは、2歳の時にアボジと生き別れたが、今でも月に1、2通送ってくるアボジの手紙を枕元に置いては、何度も読み返しているという。

 テボンさんは、9年前に観光で来日した際、アボジと対面したが、故郷での再会に深い感慨に浸っていると語った。テボンさんは「アボジ、故郷(慶尚北道・漆谷)に行かれたら、心置きなく、親孝行を受けて下さい」と語った。「さんは涙ぐみながらうなずくだけだった。

 総聯埼玉・北部支部顧問の安承模さん(82)の側には、妹のウグンさん(73)が駆け寄り、兄の手を握り、しばし離れようとしなかった。60年ぶりの兄妹の再会は、市民たちの涙を誘う感動的なものだった。

 「オッパと60年ぶりに会えて本当に嬉しい。ソウルで会えたことが夢みたい」。ウグンさんの顔は涙まみれだった。

 続いて訪問団の一行は、宿舎のシェラトン・ウォーカーヒルホテルで家族と対面、再び喜びに浸ったが、興奮がいくばくか覚めるや、お互いの近況や縁故者の話に花が咲いた。

 商工連副会長の朴喜徳さん(74)は、宿舎の客室で今まで家族たちに出来なかった話をした。勉学を志して日本に渡った朴さん。朝鮮戦争が起こり、オモニが亡くなったことを知るすべもなかった話、独裁政権が続く以上は故郷に帰るまい、と心に決めた話…。甥たちは耳をそばだてて聞き入っていた。

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